市販の総合胃薬には「健胃薬」が配合されている事が多いです。
では健胃薬とは何かと言いますと、その名前の通り「胃を健やかにする働き」があると言うのは何となく分かりますが、あまり深く考えた事がない人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は簡単に健胃成分について少し深掘りしていきたいと思います。
健胃薬の効き目や種類について
健胃薬の胃への働き方
まずは健胃成分は「どうやって胃を健やかにするのか」についてですが、これは生薬成分の「味覚」「嗅覚」によって唾液や胃液の分泌を促したり、胃自体を活発にしてくれる働きによるものになります。
例えば梅干しを食べると唾液がダラダラ出てきたり、カレーの良いにおいを嗅ぐと食欲が出てきたりする働きと似た感じで、胃薬の健胃成分はあの独特の苦みと香りが「味覚」「嗅覚」に刺激を与え、胃の消化作用と消化管運動を促進してくれる効果があるんです。
ちなみに香りがメインの健胃薬は直接的に胃に刺激を与える作用もあるとされています。
ですからよく健胃薬は「オブラートに包むと効き目がなくなるためダメだ」と言われますが健胃薬は胃に直接作用する働きもあり、また市販の胃薬は健胃薬以外も配合されている事が多いため、においと味がどうしても受け付けないと言う人の場合は最悪オブラートに包んで飲んでもいいのかと考えます。
健胃薬の大きな分類について
そしてこの「味覚」「嗅覚」は健胃成分においてはそれぞれ「苦味健胃薬」「芳香性健胃薬」に分類されています。
味覚⇒苦味健胃薬
嗅覚⇒芳香性健胃薬
胃薬に苦みを感じたり、独特のにおいを発しているのはまさにこれらの健胃薬の意図した働きによるものなんです。
※ちなみに芳香性はさらに「辛味」に分類される事もありますが今回はまとめて1つの芳香性健胃薬として紹介していきます。
では以下に使用頻度の高い健胃成分を紹介します。
苦味健胃薬・・オウバク、センブリ、ゲンチアナ、ニガキ、ホミカ、トウヒなど
芳香性健胃薬・・ケイヒ、トウヒ、ハッカ、ウイキョウ、コウボク、チョウジ、ショウキョウなど
覚える必要はありませんがセンブリなんかは「千回振り出しても(煎じても)まだ苦味が残っている」と言われる様に苦味健胃薬として有名ですよね。
太田胃散は健胃薬が特に多い市販薬
ではここで実際に市販の胃薬に配合されている健胃薬を見ていきましょう。
まずは健胃薬の配合量が特に多く知名度も高い「太田胃散」です。
太田胃散は他の胃薬と比べて健胃成分を多くの種類配合しているのが特徴です。その数なんと7種類。苦味と芳香性は以下の様に分類されます。
芳香性⇒ケイヒ、ウイキョウ、ニクズク、チョウジ、チンピ
苦味⇒ゲンチアナ、ニガキ末
ちなみに太田胃散は胃酸を中和する制酸薬も多く配合されています
制酸薬⇒炭酸水素ナトリウム、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム
その他⇒ビオヂアスターゼ、L-メントール
これを見ると太田胃散は食べ過ぎや飲みすぎた胃の不調に対して、胃の働きを健胃成分で活発にしてくれて、なお且つ胃酸を中和する働きで胃を胃酸から守る作用が期待できる事が分かります。
では次は第一三共胃腸薬です。こちらは
オウバク⇒苦味
ケイヒ、ウイキョウ、チョウジ、ショウキョウ⇒芳香性
と計5種類の健胃成分を配合しています。
では今度はキャベジンコーワαですがこちらはセンブリ(苦味)とソヨウ(芳香性)の2種類だけを配合しています。
これらの胃薬を見ても分かる通り、基本的に健胃薬配合の胃薬は苦味と芳香性をそれぞれ最低でも1つずつペアで使用しているのが分かります。
種類が多い方が正義と言うわけではありませんが、やはり太田胃散が突出して健胃成分が多く健胃薬としてトップクラスの効果が期待できるのが人気の高い理由でもあるでしょう。
健胃薬はどのような胃の症状に効果があるのか
では健胃薬はどういった胃の症状に効果があるのかと言いますと食欲不振や胃もたれなどに特に効果を発揮します。
いずれにしても胃を活発にする事や唾液や胃液などの分泌を促進する事で胃もたれの原因となる消化不良を助けてくれる働きがあり、独特な苦味と芳香でこちらも胃を活発にさせて食欲不振に効果を発揮してくれるからです。
また健胃薬が配合されている胃薬は消化を助けてくれる消化酵素が配合されている事も多いため、胃の調子がおかしいと感じた時、特に食欲不振や胃もたれを顕著に感じる時は健胃薬を軸に、他の成分にも注目して胃薬を選んでみてはいかがでしょうか。
日頃このブログを読んでくださる方に非常に感謝しています。
この度、日頃の感謝も込めて「疾患別の攻略本(参考書)」を作成しました。
「参考書は広く浅く値段も高い」「自分が勉強したい分野の内容が薄い」と感じる人に向けて分野を絞って紹介しています。
現在【解熱鎮痛薬】【風邪薬】【花粉症】【胃薬】の4を公開していますが、間違いなく下手な参考書を何冊も買うよりもはるかに役立つ情報を詰め込んだものになっています。
もちろんいきなり購入する事に抵抗がある方もいると思いますので、もし気になる方は目次だけでも見ていってください。