現在花粉症の薬は市販でも多くの種類が発売されています。
有名な所で言えばアレグラやアレジオンなどの飲み薬は、病院で使われていた薬がそのまま市販でも購入できるようになったもの(これをスイッチ医薬品と言います)であり、効果も飲み方も全く同じになっています。
しかし中には依然として病院でしか使用する事ができずに、市販では購入できない花粉症の薬も存在します。すると「病院の薬はやはり市販の薬と違って効き目も違うのだろう」と思うのではないでしょうか。
そこで今回はそんな市販では購入する事ができない花粉症の薬を紹介し、また市販の花粉症薬とは何が異なるのかについても紹介していきたいと思います。気になる方はぜひ参考にしてみてください。
目次
市販では買えない病院の花粉症の薬
第二世代抗ヒスタミンの一部
花粉症の薬の代表としてアレグラやアレジオンなどが挙げられますが、これらの飲み薬は「第二世代抗ヒスタミン」という分類に分けられています。そしてこれらの第二世代抗ヒスタミン薬は日本国内で10種類以上も種類があります。
そしてこれだけ種類があれば当然市販薬としては購入できない薬も少なくありません。
例えば「ザイザル」「デザレックス」「ビラノア」と言った薬はアレグラと同じ系統の第二世代抗ヒスタミン薬に分類されていますが、病院でしか使用することはできずに市販では購入する事はできません。
しかしながら病院でしか使用できない第二世代抗ヒスタミン薬はその効き目が強すぎるから病院でしか扱えない訳ではありません。
単に発売されてまだ十分な期間が過ぎていないだけの側面が大きいです。
つまりあと数年もすればこれまで病院でしか使用できなかった薬も市販化される可能性は非常に高いです。
もちろんここ数年で医療用として発売された薬の中には効果が強めでありながらも眠気の副作用が少ないタイプも発売されていますが、「効果が市販薬に比べて極端に強い」「眠気が全く出ない」といったものではなく効果と眠気のバランスが取れたものが近年では発売されています。
つまり単純に眠気を気にせず強さだけを考えるのであれば市販でも購入できるストナリニZやコンタック鼻炎Zなどを選ぶこともできますし、眠気が出ないものを重視するのであればアレグラFXやクラリチンEXなども市販で購入できます。
ディレグラなどの鼻づまりに効く飲み薬
アレグラやアレジオンなどは花粉症の鼻症状の中でも鼻水やくしゃみに効果的になりますが、実は鼻づまりにはあまり効果を発揮しません。
そんな時に良く使われるのが「オノン」「シングレア」であったり「ディレグラ」と言った「アレグラ+鼻づまりに効く成分」で構成されている薬になります。ただしこれらの薬は市販では購入することができません。
では花粉症の鼻づまりは市販では諦めるしかないのかと言えばそんな事はありません。
例えば現在点鼻薬は病院と同じものが発売されており、鼻づまりに対して効果もかなりおすすめできるものとなっています。
中でもパブロン鼻炎アタックJL<季節性アレルギー専用>やナザールαAR0.1%やAGアレルカットEXは病院で使用されているものと同じ成分・同じ量になりますので、鼻づまりがひどい時はこちらを選びましょう。
またディレグラと同じ成分の薬はありませんが、ディレグラに似せた市販薬としてロートアルガード鼻炎内服薬ゴールドZという市販薬が挙げられます。こちらは鼻水くしゃみに加えて鼻づまりにも効果があるように作られた薬になります。
ただしロートアルガード鼻炎内服薬ゴールドZは心臓に影響を及ぼす副作用の懸念から長期の使用は勧められません。使っても1箱(10カプセル)を最大量として使用することをおすすめします。また抗ヒスタミン薬の量が医療用の通常量より少ないのが欠点です。
花粉症に効く点鼻薬の一部
花粉症に効く点鼻薬としてナゾネックスやフルナーゼなどが病院では使用されていますが、これらの点鼻薬はステロイドを配合している点鼻薬になります。ナゾネックや一部の点鼻薬は市販薬として購入できません。
しかし全く同じものではありませんが、市販薬でもステロイドを配合している点鼻薬は発売されています。先ほど上で「パブロン鼻炎アタック<季節性アレルギー専用>やナザールαAR0.1%、フルナーゼ点鼻薬<季節性アレルギー専用>は病院と同じ成分で市販でも発売されている」と言いましたがまさにそれに当たります。
市販の点鼻薬は病院用と比較して劇的に効果が異なる事はありませんので、点鼻薬を選ぶのであれば市販でも問題ありません。
花粉症に効く目薬(ステロイドと一部の薬)
花粉症に使われる目薬として大きく2種類あります。
それは抗アレルギー薬とステロイドになります。
この中で抗アレルギー薬の目薬はロートアルガードクリアマイルドやアイフリーコーワ薬などの病院と同じ成分の目薬が発売されていますが、ステロイドの目薬(フルメトロンなど)は市販では発売されていません。
強さで言うとステロイドの方が目の花粉症の症状に対して効果が強いですが、強力である一方で眼圧が上がる副作用が起こり緑内障などを引き起こしてしまうリスクがあります。ですから病院で医師の監視の下使用する必要があるんです。つまりもし花粉症の目の症状がひどくて我慢できない場合は病院を受診するしかありません。
ただ市販の目薬も十分高い効果を発揮しますので、もし目の症状がひどいけど我慢できない・市販薬をまだ試していない場合などは市販の目薬を試してみるのもいいでしょう。
たとえばロードアルガードクリアマイルドZなどはステロイドこそ配合していませんが、かゆみを抑える成分を2種類配合し、さらに炎症を抑える成分も配合されています。飲み薬と併用して使用しても問題ありません。
ただ値段が高いのがネックになりますので詳しくはこちらも参考にしてみてください。
免疫を利用した飲み薬
病院では「シダキュア」と言った身体の免疫機能を利用した薬が使われることがあります。
そもそも花粉症と言うのは身体が花粉を「異物」をみなした結果、その「異物」を排除しようと鼻水やくしゃみや涙で外に追い出そうとする働きになるんです。
そこでシダキュアは身体に徐々にその「異物」を与える事で身体を慣れさし、いざ花粉症の時期になっても過剰に身体が反応しないように身体の免疫システムを利用した薬になるんです。
この薬は市販では当然発売されていませんが、どの医師もできるという訳ではなく使用できる医療機関も決まっています。ですから一般的な病院で処方される事はほぼありません。また治療期間は3~5年の長期間になりますので、こちらはかなり症状がひどい花粉症の最終手段として使用する事になります。
病院と市販の花粉症薬の値段の違い
病院と市販の花粉症薬で気になるのは効果や副作用になりますが、それ以上に気になるのは値段ではないでしょうか。
では市販で購入できる花粉症薬は病院で貰うのと市販で購入するのはどちらの方が安いのか気になる人も多いと思いますので紹介していきます。
ここではアレグラを28日分(4週間分)購入した比較を行います。
<病院>
約2400円
3割負担で薬はアレグラのジェネリックを使用した場合です。病院では初診と考え、薬局での費用も含まれています。
※初診料は高めになりますが初めて病院を受診する時は必ず初診料になります。2度目以降は受診期間が空いていない場合は再診料となり値段が安くなります
<市販>
約3000円
実際のアレグラFXは定価だと約3780円になりますが、ドラッグストアやAmazonで購入すると28日分で3000円程度に抑える事が可能となります。
すると病院の方が市販よりも安いという結果になりますが、使用する期間がさらに長かったり飲み薬以外にも点鼻薬や目薬を併用するとすればさらに病院の方が安くなるでしょう。
しかしこれは28日分での値段の比較になります。市販は14日分からでも購入する事ができますし、何より自分に合った薬を試す事が可能です。これが病院の薬であるならば2週間ごとに病院を通うのには時間もお金もかかってしまいます。
市販で買えない花粉症薬のまとめ
以上をまとめると以下の通りになります。
抗ヒスタミン成分の飲み薬・・代替え可能
鼻づまりに効く薬・・代替え可能
点鼻薬・・代替え可能
目薬・・ステロイド以外は可能
免疫療法・・代替え不可
現在病院でしか買えない花粉症の薬は確かに存在します。免疫システムを利用したシダトレンであったりステロイドが該当します。
しかし逆を言えばそれ以外は市販の薬でも対応する事が可能となりますので、もし病院を受診する時間がない人や、極力病院を受診したくない人はまずは市販の花粉症薬を試してみてはいかがでしょうか。
そしてそれでも効果がいまひとつ感じられない場合や長期で使用する可能性が高いという人は病院を受診して薬をもらうようにしましょう。
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