暑くなり日焼けが気になる時期になると日焼け止めクリームを購入する人も多いと思いますが中には飲む日焼け止め、いわゆる日焼け止めサプリの購入を考えている人もいるのではないでしょうか。
日焼け止めサプリは種類も多く値段もピンキリなので、もし使うならば値段が安く効果が高いものを選びたいですよね。
ただし結論から言えば値段が高い日焼け止めサプリを購入する必要はありませんので、もし購入を考えている人はぜひ参考にしてみてください。
日焼け止めサプリの成分について
日焼け止めサプリの成分はざっくり大きく4つに分類されます。
・日焼け止め成分
・ビタミンやミネラル類
・美容成分
・効果の良く分からない成分
では以下に代表的な成分を紹介します。
日焼け止め成分:「ニュートロックスサン」「フェーンブロック(PLエキス)」
ビタミン類やミネラル類:「ビタミンC」「ビタミンE」や「セレン」
美容成分:「ヒアルロン酸」「コラーゲン」「プラセンタ」
これらを複数組み合わせたものが日焼け止めサプリとして販売されています。
飲む日焼け止めサプリの効果
では問題はこれらの成分が日焼け止めに効果があるのか?と言う問題ですが、実はこれらの飲む日焼け成分が日焼けに効く科学的根拠は存在します。
例えばビタミンCとビタミンE。
ビタミンCとビタミンEはそれぞれ単独、または併用により日焼け止め効果を発揮した論文なども示されています。
10人の被験者が1日当たり2 gのビタミンCと1000 IUのビタミンE、または8日間プラセボを受けました。治療の8日前後の日焼け反応をMED皮膚血流を測定することにより評価しました。するとビタミンCとEを組み合わせると、日焼け反応、紫外線による皮膚の損傷、皮膚の血流が減少しますがプラセボ群では増加しました。
またビタミンE1200IU、ビタミンC2g、ビタミンE1200IU+ビタミンC2gをそれぞれ皮膚の紅斑の量を比較した結果、ビタミンC+ビタミンEが最も皮膚の保護効果が高かったとの報告もあります。PMID: 12013192
※MEDとは日焼けを起こすのに必要な最小の紫外線照射量のことです。この値が高くなればより「日焼けしにくくなる」と言った指標の1つになります。
また日焼け止め成分であるニュートロックスサンやフェーンブロックに関しても同様に日焼けに対する効果も示されています。
フェーンブロックは経口投与後、MEDが2.8±0.59倍、MPD(紫外線に対する感受性)は2.75±0.5および6.8±1.3倍増加した
ニュートロックスサンはUV-BによるMEDが、15日後に14.57%、29日後に20.37%増加した
PMID: 9361129 Oral Polypodium leucotomos extract decreases ultraviolet-induced damage of human skin
では「日焼け止めサプリは塗る日焼け止めの代わりになるのでは?」と思うかもしれませんが、実は上記の論文では確かに飲む日焼け止めは一定の効果があるするも、日焼け止めクリームと比較しても効果がかなり低かったり、対象となる人数のサンプル数が少なかったりするため、飲む日焼け止めサプリは日焼け止めに効果があるかもしれないが、絶対に効果があるとは限らないものとなります。
それにこれらの研究においては1~2日飲んで出た結果ではなく、ある程度1カ月だったり2カ月飲み続けての効果になるため「今日は日焼け止めクリームを塗るのを忘れたからサプリにしよう」と考えるのは間違いになります。ずっと飲み続けてなければ意味がありません。
少なくとも塗るタイプの日焼け止めの代わりにはなり得ないと言う結論になります。
米国皮膚科学会(AAD)の飲む日焼け止めサプリへの見解
実際に2014年に米国皮膚科学会(AAD)が公表した見解によると以下の様な回答が得られています。
日焼け止め薬を局所用日焼け止め薬の代わりに使用できますか?
シダ抽出物(フェーンブロックの成分)は紫外線(UV)にさらされると皮膚がやけどするのにかかる時間が長くなることが研究によって示されています。 保護レベルは、SPFが30以上の日焼け止め剤を使用するという米国皮膚科学アカデミーの推奨よりもはるかに低いレベルです。
ビタミンCとEも日光によるダメージから肌を守る能力を示していますが、ある程度の保護を提供することが示されているのは非常に高用量だけですが、これらの用量はビタミンサプリメントで推奨されているものよりもかなり高く、ビタミンCとEの高用量の長期摂取の安全性は知られていません。Could protecting your skin from the sun be as easy as popping a pill
つまり飲む日焼け止めサプリは塗るタイプの日焼け止めの代わりにはなり得ず、肌を守るビタミンCもビタミンEも高用量が必要であり、その安全性は担保されていないと言う見解です。
そもそもビタミンCを1日2gはともかく、ビタミンEの1000IU(αトコフェロールに換算すると667㎎)は市販で販売されている量の2倍以上になってしまうため現実的に不可能です。
日焼け止めサプリは塗るタイプの補助的な役割として
もちろん日焼け止めサプリの中にはそれだけで美容効果や皮膚の修復効果のあるビタミンや美容成分が配合されていますので、日焼けを過度に気にする人は日焼け止めサプリの補助として利用する事は全く無意味とは言いません。
ただし日焼け止めサプリを飲んだからと言って日焼け予防になると考えるのは間違いになりますし、日焼け止めサプリを飲んだからと言って過度な効果は期待しない方がいいでしょう。
それに日焼け止めサプリは本当に値段がピンキリであるため、もし仮に安い日焼け止めサプリを飲んでみて効果が実感できなかった場合、より値段が高いものを購入しようと考えてしまうかもしれませんが、値段が高い日焼け止めサプリほど効き目が高いと言うのは間違いであり、値段の違いを生む根拠も今ひとつよく分かりません。
ですからもし飲む日焼け止めサプリを使用するとしても塗る日焼け止めを必ず使用した上で、過度な期待は持たずにできるだけ安い飲む日焼け止めサプリを購入する事をおすすめします。
もしくは日焼け止めサプリを購入するお金を日焼け止めクリームに充てて、常に日焼け止めクリームが常備されている形をとる方がより賢いお金の使い方になると思います。
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