もしあなたが市販薬を適切に使用したにも関わらず、薬の副作用のため入院する事になったとしたら病院の受診費用や入院費もかかり、はたまた日常生活に支障をきたす可能性もでてくるでしょう。
しかしそんな時非常に助かる制度があります。それは
医薬品副作用被害救済制度というものです。
この制度は病院でもらう医薬品はもちろん、市販で販売されている薬にも適応される制度になります。ですから今後市販薬を購入するつもりの人も、これまで市販薬を使ってきた人もあたまの片隅に置いておくべき制度になります。
では今回はそんな医薬品副作用被害救済制度について紹介していきます。もし薬の副作用で悩んでいる人や過去に副作用が起きた人はぜひ参考にしてみてください。
目次
医薬品副作用被害救済制度について
貰えるお金について
この制度は医療用医薬品や市販の医薬品を適切に使用している上でもし副作用が起こった場合に医療費が免除されたり医療手当が受けれる制度です。
受けれる費用は以下の通りになっています。
入院治療を必要とする程度の医療を受けた場合
- (1) 医療費 …………… 健康保険等による給付の額を除いた自己負担分
- (2) 医療手当 ………… 月額 34,000円または36,000円
(入院、通院の区分、治療日数による)日常生活が著しく制限される程度の障害がある場合(法令で定める程度の障害)
- (3) 障害年金 ………… 1級 年額2,736,000円 /2級 年額2,188,800円
- (4) 障害児養育年金 … 1級 年額855,600円 /2級 年額684,000円
- 死亡した場合
- (5) 遺族年金 ………… 年額2,392,800円
- (6) 遺族一時金 ……… 7,178,400円
- (7) 葬祭料 …………… 206,000円 医薬品医療機器総合機構
日常生活に著しく制限がかかる程度の障害が残った場合は障害年金も貰えますが、医薬品副作用被害救済制度の基本となるのが一番上の医療費にかかる自己負担分が全額負担してもらえる事です。
つまりもし薬の副作用で入院して医療費全体で30万円かかり、自己負担の金額が9万円だったとします。するとこの9万円が全額返金されるということです。
そして今回は主に医療費に関する点を紹介していきます。
救済制度を受ける大前提
医薬品副作用被害救済制度を受ける大前提として薬を適正に使用したうえで起こった副作用の必要があります。
この「適正」と言うのがポイントで、もし薬を用法用量通りに使用しなかった場合や本来の使い方とは違った使い方をしていた場合には適用されません。
例えば市販薬のアレグラFXも病院のアレグラも全く同じ成分です。よって効能効果や使用年齢は同じはず。しかし市販薬のアレグラFXと病院でもらうアレグラは効能効果・使用年齢共に異なっているんです。
具体的に言えば、市販薬のアレグラは皮膚症状には使用できず、15歳未満の子供への使用も認められていません。それなのに市販薬のアレグラを病院と同様の使い方で皮膚症状に使用したり半分に割って子供に飲ませたりして副作用が起きた場合、この救済制度が受けれない可能性があります。ですから市販薬を使う場合は使い方をしっかり確認し、自己判断で勝手な使い方をしない様にしてください。
ちなみに適正に使用された医薬品であった場合なら説明書などに書かれてある副作用が出た場合でも救済されます。
救済が受けれる副作用の重症度
では医薬品副作用被害救済制度が受けれる副作用の程度について紹介します。
例えば仮に市販薬のロキソニンSを買って副作用である胃腸障害が出てしまったとしたら医薬品副作用救済制度は受けれるのでしょうか?
答えは残念ながら受ける事はできません。
基本的に「副作用が出て病院を受診して家に帰る」程度では救済は受けれない決まりがあるんです。
ではどのくらいの副作用ならば救済を受けれるのか例を挙げると
入院が必要になったり、後遺症が残ったり、日常生活が著しく制限される程度の障害、死亡などの健康被害を受けた場合
などに適応されます。結構厳しめの副作用が出た時のみという事ですね。
救済を受ける手続きについて
ではもし救済の条件を満たして、いざ救済を受けようとします。しかしここでも注意が必要です。
原則として救済の手続きは本人が直接書類を提出します。
つまり病院が自動的に行ってくれるものではないので注意してください。
では書類に必要なものは必要なものは以下の通りです。
○医療費・医療手当診断書
その副作用の治療を行った病院の担当医師に相談し、診断書等の作成をお願いして下さい。
○受診証明書
受診証明書も副作用で入院し治療していた医療機関に書いてもらいます。入院日数や自己負担額などの記載になります。
○投薬使用証明書または販売証明書
使用した薬の用法用量などを記載します。こちらも副作用の治療を行った医療機関に提出してください。ただし薬の処方をした医師と副作用の診断を行った医師が同じである場合は提出不要となります。
例)医師Aがaの薬を使用して副作用が出た。そして医師Aが副作用の原因はaだと判断した。この場合は投薬使用証明書は不要となる
また市販薬の場合は医薬品名、販売年月日等を記載した販売証明書を購入先の薬局等で書いてもらってください。インターネットを利用して購入した場合も同様です。
※販売証明書を作成してもらうため購入時の記録等を保存しておくことをおすすめします。
○医療費・医療手当請求書
こちらは請求する人の生年月日や住所、そして副作用の原因とみられる医薬品やその入手場所や入院日数などを記載するものです。
上記の書類は全てこちらのPMDA(医薬品医療機器総合機構)のHPからダウンロードできます。診断書なども病院が独自で作成しているものではなく、医薬品副作用被害救済制度の提出用の書類に則るものになりますので注意してください。
そしてこれらの書類をまとめてPMDAまで提出するようにしてください。
医薬品副作用被害救済制度で大切な事
以上医薬品副作用被害救済制度について説明してきました。
しかし現実的に市販薬で入院以上の副作用が出る事は非常にまれだと思います。ただ入院になった場合や後の生活に支障が出る可能性も考えると病院からもらう薬はもちろんですが、市販薬の使い方というのは自己判断で服用するのではなくきちんと用法・用量・適応を守り使用する必要が出てきます。
これからの時代、セルフメディケーションも進み市販薬を購入する機会が増えると思いますが、適切な使用を心がけ、もし副作用が出た場合にはこの様な救済制度があることを忘れないようにしていてください。
また書類の書き方が分からない場合はPMDAの相談窓口がありますのでぜひそちらも利用してみましょう。⇒救済制度相談窓口
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