目薬

ドライアイに効く市販の目薬の選び方【人工涙液】

 

最近ではコンタクトレンズの使用率の増加やパソコンやスマホの長時間使用によってドライアイの方が増加傾向にあるそうです。そして「ドライアイ程度ならば日常生活に対して影響ないし市販の目薬で何とかしたい」と考える人も多いと思いのではないでしょうか。

 

しかしドライアイを放って置くことはやはり良くありませんし、かと言ってドライアイに効くとされている目薬は多くの種類が発売されており、できれば安くて効き目が高い目薬を欲しいと考えますよね。

 

そこで今回はドライアイの症状の方におすすめする市販の目薬を紹介していきたいと思います。病院に行く時間がない、市販の目薬を試してみたい人はぜひ参考にしてみてください。

 

ドライアイとはどんな疾患なのか

そもそも「涙」は悲しさを表現するためだけに存在しているのではありません。

涙があることで目の表面を洗い流し異物や細菌から目を守る働き、そして栄養を与えるなどの非常に大切な役割を担っています。

 

そしてドライアイと言う疾患は以下の様に定義されています。

様々な要因により涙液層の安定化が低下する疾患であり、目不快感や視機能異常を生じ目表面の障害を伴うことがある 引用:ドライアイ診療ガイドライン

一言で言えば「涙の量が適当でないと目自体にも悪影響がでるよ」と言うことです。ただ単純に目が乾いておしまいと言うわけでは済まない場合もあるんですね。

 

そしてドライアイの原因は涙が出ないだけではなく大きく3つに分類されます。

・涙自体が減っている
・涙を留める事ができない
・涙の蒸発が多い

この3つに分類されます。

そして肝心の薬ですが、市販薬ではもっぱら一番上の「涙自体が減っている」状況にアプローチすることでドライアイの症状を軽くすることを目的としています。

では具体的にドライアイにおすすめの目薬を紹介していきます。

 

ドライアイに効く市販の目薬の選び方【人工涙液】

人工涙液+防腐剤フリーを選ぶ

〇人工涙液ソフトサンティア

〇ロートソフトワン

 

ドライアイの市販薬は多く発売されていますが、最初に試すべき目薬は人工涙液かつ「塩化ベンザルコニウム」と言う防腐剤が配合されていない目薬を選ぶ必要があります。

そしてこれらを満たす市販の目薬は人工涙液ソフトサンティアロートソフトワンになります。

 

どうして人工涙液で防腐剤が入っていない目薬がいいのかと言いますと、人工涙液はその名の通り人の涙を模して造った目薬であり減っている涙の補充の役割を示します。また塩化ベンザルコニウムと言う防腐剤が入っていると目を傷つけてしまう可能性がありドライアイを悪化させてしまう可能性もあるんです。ですから人工涙液+防腐剤フリーの目薬は必須条件になってきます。

 

ソフトサンティアとロートソフトワンの違い

ではそんなソフトサンティアとロートソフトワンはどちらを選ぶべきか?と言う疑問ですが、正直どちらを選んでも構いません。ロートソフトワンの方が若干見た目がスタイリッシュですが特に気にしない場合は値段が安い方を選びましょう。

 

ソフトサンティアとロートソフトワンは共に同じ成分である塩化カリウムと塩化ナトリウムを配合し、添加物もホウ酸とPH調節剤となっているため違いはありません。

そして共に4本入りとなっており1本の使用期間の目安が7~10日となっています。つまり1箱で1か月分は持つ計算になります。値段もAmazonで1000円以内で買えますので決して高すぎる訳でもありません。

 

コンタクトレンズの上から使えるドライアイ用の目薬

市販の目薬の中の多くはコンタクトレンズを装着しながら目薬をさす事ができません。その理由は大半の目薬に防腐剤が含まれているためです。特に塩化ベンザルコニウムの防腐剤は多くの目薬に配合されているためコンタクトレンズを付けたままの使用は不可となります。

ただ上でも紹介した通りソフトサンティアとロートソフトワンは防腐剤フリーなのでコンタクトレンズを付けたまま目薬をさす事ができます

つまりソフトサンティアとロートソフトワンはコンタクトレンズを付けたドライアイにも使えるおすすめの目薬となるんです。

 

高いドライアイの目薬は最初に使うべきではない

ソフトサンティアやロートソフトワンは1カ月分で600円程度で購入可能になりますが、世の中には1本1000円以上するドライアイに効く目薬が発売されています。

ではその様なドライアイに効く値段の少し高めの目薬はどうなのかと言えば、人工涙液とはかけ離れた成分で構成されている目薬が多く、それらがドライアイに効く科学的根拠に乏しいものばかりになります。

 

ただし中には人工涙液に1~2種類の成分をプラスしてドライアイ治療薬として発売されている目薬もあります。例えば値段の高いドライアイ市販薬の代表例であるVロートドライアイプレミアムなどの目薬がまさにそれで、人工涙液+ポビドンと言う形の目薬となっています。

実際にポビドンが配合されると効果の程はどうなのか?と言う点ですがある論文がありますので紹介します。

 

586人を対象としたポビドンを配合する涙液代替物を8週間使用した結果は

異物感:66%⇒5%
灼熱感:69%⇒8%
圧力感:48%⇒5%
結膜充血:48%⇒6%

PMID: 9091713

 

かなりいい成績ですね。

しかし実際は配合されているポビドンの量が不明であり涙液代替物もソフトサンティア等と同じ人工涙液ではなく、またこの実験に要した8週間と言う期間の目薬の値段も考えたら一番最初に使用する目薬としてはおすすめしません。(Vロートドライアイプレミアムは1本1000円以上します)

まずは人工涙液ソフトサンティアやロートソフトワンでまずは試しましょう。もしくはワンランク上の効果が期待できる比較的安価な目薬を使用するのもオススメです。こちらで詳しく紹介しています。

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市販のドライアイの目薬が効かない時の対策

生活環境を整える

ドライアイになりにくい環境を整えるのも重要です。たとえばエアコンや扇風機が直接当たらないように気を付けたり、加湿器で保湿を保ったり、コンタクトレンズではなくメガネにしたりするなどの環境を整えてみましょう。

最近では卓上加湿器もおしゃれで加湿効果も高く、おまけに値段が安いものがたくさん発売されていますので、PCでの仕事が多くドライアイになりがちな人はぜひ探してみましょう。

 

病院を受診する目安

人工涙液は乾いた目にさす事で効果を実感できるため、言ってみれば即効性が高いです。ただし欠点として目にとどまる時間が短く長時間の効果が期待できません。そのため目薬を使用する回数が増えるため手間も増えます。

また人工涙液は涙を増やす事はできますが傷ついた目の表面には効果を発揮しませんので、もし市販の人工涙液を使用してもドライアイの改善が悪かったり不快感が続く、コンタクトの装着時に痛みがある時などは病院を受診するようにしましょう。

ドライアイの目薬と言えばジクアス点眼液やムコスタ点眼液を病院で処方してもらった事がある人もいるかと思いますが、残念ながら市販薬としては発売されていません。ですから以前ジクアスなどを使用してドライアイに効果を実感できた場合には市販の人工涙液がダメだと思ったら優先的に病院を受診しましょう。

 

魚を意識して食べる

ドライアイにはDHAやEPAによって改善が見られる場合があります。

実際にサプリメントを利用してEPA・DHAを摂取した場合、自覚症状を含めたドライアイに関するあらゆる試験で改善傾向にある報告がされているんですね。PMID: 24190233

 

ただこれと同じ効果をサプリメントで得ようとする場合、DHA500㎎は多くのサプリメントでも満たしている量になりますが、EPAに関しては1000㎎を超える量が必要になってきます。しかし市販のサプリメントはたいてい100~200㎎となっておりかなり少量になってしまいます。

またDHAとEPAをドライアイとして使用する事は医療用でも保険適用外となり、使用される事が認められていないため、医療用としてドライアイにDHAやEPAが処方されることはありません。

 

ですから市販薬でドライアイの改善を試みる場合にも絶対にサプリメントを買わなきゃと思うのではなく、気持ち優先的にDHAやEPAが多く含まれている魚(アジやイワシやサンマなど)を食べる事を意識してみてはいかがでしょうか。

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