下剤には飲み薬から座薬まで多くの薬が販売されていますが今回は浣腸について解説していきたいと思います。よく「イチジク浣腸」や「コトブキ浣腸」などの名前で発売されているあれです。
ただ便秘薬の飲み薬は服用するのに抵抗がないひとも多いかもしれませんが、あまり浣腸に馴染みのない人も多いのではないでしょうか。もし市販の浣腸の使用を考えている人はぜひ参考にしてみてください。
目次
市販の浣腸の便秘への効果
浣腸の成分は基本グリセリン
浣腸は成分に「グリセリン」と「精製水」を配合しています。
グリセリンが腸内に入る事によって腸内の浸透圧が高くなり、便を柔らかくして腸の蠕動運動(便を外に出そうとする働き)が高まります。また潤滑油の働きもあり排便をよりスムーズに行ってくれる働きがあるんです。
精製水が配合されている理由はグリセリン単独だと濃度が高すぎて腸壁を障害してしまうため、グリセリンの濃度を薄める目的で配合されています。
効き目は10分以内
浣腸の効果が現れる時間は大体3分から10分です。
ただし、効果が現れる時間は個人個人で異なり10分以上経過して効果が現れる人もいます。
内服の下剤であれば、口から飲み込んで薬が吸収され、腸で効果を発揮するのに数時間がかかってしまいますが浣腸は直接腸に作用するため即効性があるんですね。
メーカーの違いは使い勝手と値段
浣腸の成分はグリセリンと精製水が大半ですが、浣腸は色んなメーカーが発売しています。ではこれらは何が違うのかと言えば「ノズルの長さ」「ジャバラ式か否か」「値段」などが異なります。
もちろん効き目は同じなので使い勝手・値段いずれを重視しても問題ありません。
市販の浣腸の使い方
○場所
浣腸をして数分で便意があるので、できるだけトイレの近くで浣腸をするようにします。
子供に使用する場合にはタオルやビニールシートの上で行った方が無難です。
○浣腸の準備
事前に浣腸自体を湯せんして40度ぐらいの人肌に温めておきましょう。そうすると違和感なく浣腸ができます。温度が低すぎると腸壁の毛細血管が収縮して血圧を上昇させたり、寒気を起こす場合があるので注意してください。
○姿勢
1歳未満の子供はオムツを替える時の姿勢に。1歳以上の方が使う時は左側を下にして使いましょう。左側を向く理由は、腸は肛門に向けて左から右へ向かう様にできていますので、左側に寝てもらえば逆流する事がないためです。
この際に絶対に立ったまま浣腸は使用しないでください。腸を傷つけてしまうおそれがあります。
○注入
ゆっくりとチューブを回転させながら挿入します。この際すぐに排便を行ってしまうと薬剤が外に出てしまいますので注意しましょう。
排便がなく浣腸液だけが出てきた時はすぐに2個目を入れないようにしてください。少なくとも30分~1時間は様子を見てから使う様にしましょう。
市販の浣腸のメリットは大きく3つ
浣腸のメリットとしては大きく3つになります。
・強い効果で即効性がある
・排便タイミングを自分で決めることができる
・赤ちゃんから高齢者まで使う事ができる
今述べたように浣腸は即効性があり頑固な便秘に効きます。また即効性があるためどうしても排便を済ましておきたい時などに有効です。
市販の飲み薬の下剤は実は即効性の高いものは少なく、服用して8時間程度してから効果を発揮するものが多いため、実は排便タイミングの調整においてはあまり微調整が効かない薬となっています。ただ浣腸は使用してすぐに排便効果がありますので、調整のしやすい薬と言えるでしょう。
また幅広い年齢で使用可能な点もメリットの1つです。赤ちゃんも使用する事ができますし、お年寄りの方も使う事が可能です。
浣腸を使う前に注意すべき点
使う人によってはメリットばかりの浣腸ですが当然注意点がありますので紹介していきます。
浣腸を使用してはいけない人がいる
・腸管内出血、腹腔内炎症のある患者、腸管に穿孔又はそのおそれのある人
・全身衰弱の強い人
・下部消化管術直後の人
・吐気、嘔吐又は激しい腹痛等、急性腹症が疑われる人
ざっくり言えば腸の病気を持っている人や腹痛がある人は使用しないようにしてください。また「妊婦の方や高齢者、痔出血がある方、心臓病の診断を受けた人は購入の前に医師・薬剤師に相談しましょう」となっていますが基本的に使用しないでください。
使い方を間違うと直腸粘膜を傷つける可能性がある
浣腸は直接腸に注入するため使い方次第では直腸粘膜を傷つける可能性があります。
特に便秘の状態で便が腸内に溜まっている状態だと注入しにくい状態になっている事が多いためリスクはより高くなります。
子供でも使えるからと言って使い過ぎはNG
浣腸は子供でも使用できる下剤になりますが、腸を刺激して排便を促す点を考えれば長期で続けて使用するのはやめましょう。使い過ぎにより浣腸を使用しないと排便ができなくなったり、効きが悪くなることがあります。
基本的に浣腸は最終的な手段の1つとして使用する事をオススメします。いうまでもありませんが決してダイエット目的としては推奨しません。
ある研究によると腸内細菌を改善する事で浣腸を使用する回数を減らせるという報告がありますので、便秘がちな人はヨーグルトであったり整腸剤をある程度まとまった期間使用することを推奨します。これらは摂取してすぐに効果が現れるものではありませんので2~3日使用して改善しないからと言って中止しないようにしましょう。
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