今回はウルソを配合している胃薬で有名なハイウルソ顆粒を紹介していきたいと思います。
名前からして「ハイウルソ」と言う事もあり多くのウルソが配合されていそうで、例えばタナベ胃腸薬ウルソよりも効果が高そうな雰囲気もありますが、実際はそんな事もありませんので、その辺も併せて紹介していきたいと思います。ぜひ参考にしてみてください。
ハイウルソ顆粒が特に効く胃の症状について
今回紹介する「ハイウルソ顆粒」は上の赤字の部分である2つの働きがあります
・消化を助ける成分
・胃腸の働きを活発にする健胃成分
そして最大の特徴はハイウルソの名前にもなっている「ウルソデオキシコール酸」を配合している点にあります。
ハイウルソ顆粒は胃の弱った働きに効く
ハイウルソは食べ過ぎた時や弱った胃へ特に効果を発揮します。
その理由としてはハイウルソ顆粒には消化を助ける成分が3つ配合されているためです。
・ウルソデオキシコール酸
・ビオジアスターゼ2000
・リパーゼAP6
ビオジアスターゼ2000は炭水化物やタンパク質を分解し、リパーゼAP6やウルソデオキシコール酸は脂質を分解してくれます。これらは食べ物の消化を助けてくれるため、食べ過ぎや胃が弱っている時に効果を発揮してくれるんです。
ウルソデオキシコール酸とは肝臓に働いて、肝臓から「胆汁」という物質を分泌させる働きを持っています。この「胆汁」とは脂質の分解を助けてくれる働きがあるため脂っこい食事や食べ過ぎ・胃のもたれなどの症状に効果的なんです。
また健胃成分として「ケイヒ」「ウイキョウ」「ゲンチアナ」も配合しているため、弱った胃を活発にしてくれる手助けにもなります。
胃痛には効果が乏しい
ハイウルソは消化を助ける働きや弱った胃を活発にする成分は配合されていますが、胃痛を抑える効果はハイウルソは乏しいと言えます。
その理由として胃痛が起きている原因としては胃酸が強く出過ぎているか、胃粘膜が弱っている状態になるのですが、ハイウルソではそのいずれにしても対応する効果を持ち合わせていないためです。
もちろん消化を助ける事や胃がより働くことによって、結果として胃痛を軽減できる可能性もありますが、胃痛目的としてハイウルソを使用する事は正直おすすめしません。
ハイウルソが二日酔いにおすすめはできない理由
「ハイウルソ顆粒」と言う名前からも分かる通り最大の売りはウルソ、つまりウルソデオキシコール酸を配合している点になります。
そしてウルソと言えば医療用では「肝臓の働きを助けてくれる薬」と言った使われ方が多いため、多くの方が「飲んだ時は肝臓を元気にさせるためにウルソが効くのでは?」と思うかもしれません。
確かにウルソはフラセボに比べて疲労回復率が高いという論文もあるため、ウルソを服用する事で肝臓を助け、そして疲労回復につながる可能性もあります。参考:PMID: 26997458
ただこの場合1回に服用するウルソの量が50㎎となりハイウルソの2.5倍。おまけに8週間と比較的長期の方を対象としている研究であるため、日頃からハイウルソを飲んでいない人がお酒を飲んだ後にハイウルソを服用して肝臓の働きを助けてくれるのかは正直疑問が残る所です。
また別の研究でもウルソを配合したカプセルを服用すると疲労回復、肝臓酵素の改善に効果があるとされていますが、こちらも4週間継続して服用した結果になり2週間の投与ではフラセボと差がなかったとされています。参考:PMID: 26830981
ですから個人的に「ハイウルソはウルソを配合しているから肝臓に効くはずだ」と考えて二日酔い防止目的で使用するのはおすすめしません。値段も12回分で1000円弱しますので、決して安い薬とは言えないでしょう。
もちろん上でも紹介しましたが、ハイウルソは消化酵素が配合されていますのでお酒や食事を取り過ぎてしまった時に服用する事で胃の症状を改善してくれる可能性はあるため、全く効果がないということもおそらくありません。
ですからあくまでも
ハイウルソは消化を助ける・胃の働きを活発にしてくれる胃薬。
そして長期間の服用で少しは肝臓の働きを良くしてくれるかもよ
と言った位置づけがしっくりくる薬だと考えます。ただ市販薬のハイウルソは長期間の服用が推奨されていませんので、どちらにしてもフラセボ効果として期待する方が賢明かもしれません。
ちなみに液体タイプのハイウルソエース内服液やハイウルソUが発売されています。こちらもウルソの量は同じ1回20㎎配合で生薬メインの薬になっています。ただ1回あたりの値段は2倍以上になっていますが、おそらく効果としてはハイウルソ顆粒と大差ないと思いますので、もし液体タイプを飲むのであればコスパの良い顆粒の方がマシです。
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