ニキビの情報をネットで検索すると必ずと言って目にするのが「ステロイドはニキビに効く」という記事です。
そしてそれらの記事のほとんどはステロイド推奨派の方が、ステロイド否定派の人に十分気を配りながら「個人の感想では大変良く効く」と言う結論に持っていく場合が多いです。
しかしはっきり言います。
ニキビにステロイドを勝手に使用する事はおすすめしません。
特にステロイド配合の薬でニキビに効くと有名な「テラ・コートリル軟膏」という薬は良く取り上げられがちですのが全くの間違いです。
実際に医者が治療の参考にする「ニキビ治療のガイドライン」においてもテラ・コートリル軟膏などのステロイドの塗り薬は全く推奨されていません。仮に急にできたいわゆる赤ニキビにも「炎症性皮疹にステロイド外用を推奨しない」とされています。日本皮膚科学会HPより
「でも自分はニキビはテラ・コートリルで治ったよ」「ニキビにテラ・コートリルの使用を考えている」と言う人もいると思いますのでぜひ参考にしてみてください。
目次
テラ・コートリル軟膏をニキビに使ってはいけない理由
「テラ・コートリル軟膏はニキビに効く、特に赤ニキビに使用しましょう」というネット上の記事を大変良く目にします。確かに赤ニキビは皮膚が炎症を起こしている状態です。そしてステロイドには炎症を非常に強く抑える効果が期待できます。
ですから結果として赤ニキビに効果を実感できる場合もあるでしょう。
またテラ・コートリル軟膏にはオキシテトラサイクリンという抗菌薬も配合されていますので、ニキビの原因菌をやっつける事が可能となります。
これだけ見るとテラ・コートリル軟膏はニキビにピッタリな薬と言えそうです。
外用ステロイドはニキビに使われない
ステロイドが赤ニキビに効くという記事を読むと必ずと言って良いほど「長期で使用するのは避けましょう」と書いてあります。
では具体的な長期は何日なのか?良くなったらいつまで続けるべきなのか?などに関して言及してある記事を目にした事はあるでしょうか。
おそらくほぼゼロだと思います。あったとしても何の根拠もなく「1週間程度に留めましょう」などと記載されています。
ではこれほどまでにニキビ治療にステロイドを使用する事をすすめる人の意見があいまいなのでしょうか。その理由は基本的にニキビにステロイドを使用される事はほぼないため、根拠となる説明ができないからです。
ステロイドにはニキビへの適応は取れていません。
「適応が取れていない」という事を平たく説明すると「効果や安全性が立証されていないから使ってはダメ」という事です。
ニキビを広い意味で「皮膚炎」と捉えてステロイドを使用する場合もまれにあるかもしれませんが、その場合でも使うとすれば医師の監視下での治療です。素人が勝手に症状を判断して薬の選択・中止をするのとはわけが違います。
ちなみにテラ・コートリル軟膏の適応は以下の通りとなります。
化膿を伴う次の諸症:湿疹、皮膚炎、あせも、かぶれ、しもやけ、虫さされ、じんましん化膿性皮膚疾患(とびひ、めんちょう、毛のう炎)
当然ですがニキビへの効果はありません。
テラ・コートリルはニキビを悪化させる
つまりニキビへのステロイドの効果の口コミは大半が「自分がニキビに効いたから効果がある」としているだけで、むしろステロイドは使い方を誤ると免疫抑制作用によりニキビを悪化させてしまう事にもなります。
免疫抑制作用と言うのは、人の身体は菌が外から侵入した際は身体の免疫力で菌をやっつける事を言いますが、その免疫力を抑える事で菌の侵入・増殖を許してしまう事です。
もちろんニキビも菌の感染の一種ですから、免疫を抑制してしまうとニキビの活動を活発にする事に繋がります。そしてそれはつまりステロイドが原因でニキビが悪化してしまうという事です。
テラ・コートリル軟膏でないニキビにおすすめの市販薬
市販の塗り薬ならばペアアクネクリームW
ではテラ・コートリル軟膏以外で市販薬でニキビにおすすめな薬は何があるのかと言いますとペアアクネクリームWがおすすめです。
こちらは当然ですがステロイドは配合されていません。
ペアアクネクリームWには炎症を抑える成分として「イブプロフェンピコノール」という成分が配合されています。またニキビの原因菌となるアクネ菌をやっつける「イソプロピルメチルフェノール」も配合されています。こちらは正真正銘、市販のニキビ治療薬になります。
ニキビ治療には洗顔を重視
市販のニキビ治療には限界があります。ですから上でも紹介しましたが、ペアアクネクリームなどを使ってもダメな時は病院を受診しましょう。もちろんテラコートリル軟膏などは使用してはいけません。
そして薬を使わずにできるニキビ対策として有効なものがあります。それは1日2回の洗顔です。また化粧品はニキビ用の基礎化粧品を使用することも同様に推奨されています。
1日2回の洗顔は実践することはそう困難ではないと思いますが、問題は基礎化粧品ですよね。具体的にはこの様な化粧品を使用することが推奨されています。
痤瘡患者への使用試 験が報告されている低刺激性でノンコメドジェニック な痤瘡用基礎化粧品を選択するなどの配慮が必要である. 引用:尋常性痤瘡治療ガイドライン2016
では実際にどれがおすすめなのかと言いますと「ノンコメドジェニック」「刺激が少ない」この2つを満たしているファンケルのアクネケアになります。
【ファンケル】大人ニキビを繰り返さない!!無添加アクネケア
ファンケルと聞けばスキンケアとして安心する人も多いと思いますが、効果の程も抜群です。過度に殺菌成分や皮膚への刺激を与える成分が配合されておらず、よりニキビ治療に効果的な基礎化粧品となりますので、まずは初回限定価格の分を試してみてはいかがでしょうか。
市販薬はニキビ治療薬が少ない
市販薬でニキビ治療薬を検索するとそこそこ多くの種類がヒットするかと思います。
しかし実際に医療現場で使われるニキビ治療薬は市販では全く発売されていません。
と言うのもニキビ治療薬の原因は主に「菌」になります。ですから下手に使用してしまうと耐性菌が出来たり、また病院で処方されたニキビ治療薬を使った事がある人は分かるかもしれませんが、ディフェリンゲルなどは大変刺激性が強い薬になっています。
また、塗り薬でも妊婦が使用してはいけないニキビ治療薬なども存在します。よって安易に市販薬として販売し使用するわけにはいかないため、市販では購入する事ができなくなっています。
ですからニキビがひどい場合には、下手に市販薬で粘ったりするよりも皮膚科でしっかり診てもらい適切な薬を処方してもらう事がはっきり言っておすすめとなりますので、たとえペアアクネクリームWでも過度な期待は持たないようにしましょう。
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