気付けば出来ていて、そして気付いたら治っているのが口内炎。ただし中々口内炎が良くならなかったり頻繁にできたり、はたまた自然治癒するまで痛みがひどすぎる場合もありますよね。
口内炎と一口に言っても
ストレスや栄養不足、疲労そして免疫力の低下などが原因「アフタ性口内炎」。
口腔内の物理的な損傷、例えば口の中を噛んでしまった時や口の中をやけどした後にできる「カタル性口内炎」などがあります。
またこれら以外にもタバコが主な原因となるニコチン性口内炎やウイルスの感染によるウイルス性口内炎など様々な種類が存在します。
圧倒的に多いのがアフタ性口内炎になりますので今回はアフタ性口内炎の治療として話を進めていきます。カタル性口内炎の場合はパブロンうがい薬AZなどのうがい薬を使用してください。
そこで今回は市販の薬を使って口内炎を早く治す方法を紹介したいと思います。
もし口内炎の痛みがツライ人や市販の薬の選び方が分からない人などはぜひ参考にしてみてください。
目次
口内炎を市販薬で早く治す方法
医療用ケナログと同じ市販薬を使う
口内炎の治療薬として真っ先に選ぶべきものが医療用でも使われている「ケナログ」と同成分であるトリアムシノロンアセトニドを配合してある塗り薬になります。
※現在医療用ケナログは販売中止になっています
こちらはステロイド成分になり口内炎の痛みや腫れを強力に抑える事が可能となります。そして現在市販のステロイドで口内炎に有効なものはこのトリアムシノロンアセトニド以外ありません。
ではこのトリアムシノロンアセトニドを配合している代表的な塗り薬は以下になります。
・トラフル軟膏PROクイック
・オルテクサー口腔用軟膏
・口内炎軟膏 大正クイックケア
これらはいずれも同成分であり他の成分は一切配合されていませんので、どれを選んでも構いません。すべて5g単位で販売されていますので値段の安いものを選ぶことをおすすめします。
また「トラフルダイレクト」「口内炎パッチ大正 クイックケア」という貼るタイプの口内炎治療薬もありますので、もし口に塗り薬を塗ることに抵抗がある人の場合はこちらのパッチ製剤がおすすめです。
トラフルシリーズは多くの種類がありますが、決してトラフル軟膏ではなくトラフルPRO軟膏もしくはトラフルダイレクトを選ぶようにしましょう。
そしてこれらの薬はウイルス性の口内炎には逆効果になる可能性もありますので、もし倦怠感や発熱がある口内炎を併発している場合は選ばないようにしましょう。
口内炎の薬の塗り方
口内炎の薬は「1日に数回、患部を清浄にした後適量を塗布するように」と書かれています。
ただ口内炎の原因の1つでもある口内を清潔にすることは非常に大切なので以下の手順で薬を塗るようにしましょう。
① 歯磨きをして口腔内を清潔にする
② 口内炎がある患部の水分をテッシュやガーゼで優しくふき取る
③ 薬を綿棒やガーゼで塗る
④ 飲食を30分程度は避ける
これらの方法を徹底するようにしてください。
薬を手で塗る人も多いですが、それでは不衛生な部分も多く、それにより患部に菌を付着させることにもつながりかねません。また薬を塗ってすぐに飲食をしてしまうと、せっかく塗った薬が洗い流されてしまうため効果的ではなくなる場合があります。(ちなみに仮に飲み込んでしまってもほぼ害はありません)
予防もかねてビタミンB12を取る
口内炎の予防や治りを早くするためにビタミンの摂取をよく推奨されます。
例えばビタミンB群やビタミンCが口内炎に効く、はたまたビタミンAやビタミンEも効果的とされていますよね。ただ明確に「このビタミンが口内炎に効く」と言うものは実はあまり根拠がなく、例えば「ビタミンCならば皮膚の粘膜を正常化してくれるから口内炎にも効果がある」とされているものばかりなんです。
ただそんな中ストレスや免疫力低下で繰り返すいわゆるアフタ性口内炎に関して言えばビタミンB12が効果的とする論文はそれなりにあります。
PMID: 9825643 PMID: 20023621 PMID: 19124628
もちろん全ての研究が大多数の人を対象として研究ではなく、そして何より5カ月以上の連続しての投与によって得られた効果になるものが多いため、一概に「口内炎にはビタミンB12を取ればいい」と言い切るのは難しい所ですが、もしビタミンを補給して口内炎を予防するのであればビタミンB12をマストで取ることをおすすめします。
ではどの薬がおすすめかと言いますと、ビタミンB12はもちろんその他推奨されている事の多いビタミンEやパントテン酸もカバーできるアリナミンEXプラスがいいでしょう。
アリナミンシリーズは多く発売されていますが、口内炎に関して言えば効果と値段の面からも最もおすすめなビタミン剤と言えます。
痛みがひどい時はデンタルクリーム
痛みがひどい時はデンタルクリームを使用しましょう。
デンタルクリームは痛みを抑える「ジブカイン」「アミノ安息香酸エチル」を配合し、殺菌作用のある「セチリピリジニウム」も配合されています。
デンタルクリームは口内炎自体を治す薬ではありません。しかし痛みを抑える働きを持つため、もしどうしても今すぐに口内炎の痛みを抑えたい場合には、上で紹介したステロイドの塗り薬を使用した後にこちらのデンタルクリームも使用してみましょう。
ちなみにデンタルクリームもメディケアデンタルクリームもメディケアデンタルクリームTも同じなのでどれを選んでもかまいません。ただしメディケアデンタルピルクリームだけは違う薬になるので注意してください。
アズレンスルホン配合のうがい薬を使う
口内炎にはうがも有効です。
おすすめはパブロンうがい薬AZであったり、キンカン 水溶性アズレンうがい薬やエスコンうがい薬AZなどの「アズレンスルホン酸」を配合したうがい薬がおすすめです。この成分は炎症を抑え、傷の治りを早くしてくれる効果があります。
ただし値段は1本1000円程度するものがほとんどになりますので、基本は上で紹介した塗り薬を使用して、そしてそれでも口内炎を繰り返す人や少しでも口内炎の発生を抑えたい時に使用しましょう。
口内炎を市販薬で治す際の注意点
高額なサプリメントは口内炎に不要
口内炎に効くとして比較的高額なサプリメントも販売されていますが、その内容は多くが乳酸菌やはちみつなどを主成分としているものであったり、とにかくビタミンを多く配合しているマルチビタミンの様なものになります。
では果たしてこれらが効果的なのかと言えば残念ながらそれらの根拠はありません。むしろ逆にマルチビタミンは何も飲ませない時と比べて大差なしと言う研究もあります。
また飲み薬で炎症を抑える系の薬、例えばぺラックT錠なども口内炎に人気ですが実際の所その様なものも根拠に乏しく、もし飲み薬を選ぶのであれば上で紹介したアリナミンEXプラスで十分と言えるでしょう。
口内炎にはちみつはおすすめしない
口内炎にはちみつが効くともよく言われますよね。
しかしこちらも根拠に乏しいものばかり。確かにはちみつが口内炎に効くという研究もありますが、多くはがん患者の化学治療を行っている方や放射線治療を行った場合の口内炎の効果ばかりで一概に全ての口内炎に効くわけではありません。
また一般的なはちみつは純粋なはちみつではなく糖分をプラスしたものも発売されているため、これにより口内炎への逆効果になる場合も出てきます。
となると純粋なはちみつを選ぶ必要がありますが、はっきり言って純粋なはちみつは値段も高いですよね。ですからコストパフォーマンスを考えてもはちみつは口内炎にはおすすめしません。
市販のデスパは医療用と違う
病院で口内炎治療に用いられる薬にデスパ口腔用クリームというものが発売されています。
こちらは殺菌作用のある「クロルヘキシジン」や炎症を抑えるステロイドの「ヒドロコルチゾン」などの成分が配合されている塗り薬になります。そして市販薬でも新デスパコーワクリームとして同じ「デスパ」が発売されていますが、全くの別物になるので注意してください。
市販で買えるデスパの方はステロイドを配合せずに、炎症を抑える「グリチルリチン酸ニカリウム」や殺菌成分の「セチルピリジニウム塩化物水和物」などを配合していますが、効き目としては医療用よりもかなり劣ると考えて問題ありません。わざわざ選ぶ必要はないでしょう。
カンジダ口内炎は市販薬では治せない
口内炎の種類の中にカンジダが感染するタイプの口内炎があります。
そしてこれらの原因は「真菌」になります。ただ、この真菌を叩くタイプの市販薬は現在市販で購入することはできません。病院に行って医師の処方箋が必要になってきます。
カンジダ口内炎の特徴としては白色の白苔(コケの様なもの)だったり発赤や腫れがみられ、ピリピリ・チクチクした痛みが特徴となりますが、もし心当たりのある方は病院を受診することをおすすめします。
口内炎が治らない場合は原因を探す
もし口内炎が続く場合は今回紹介した薬が効かないケースもあり、そして今回上記で紹介した治療法を実践すると同時にやはり生活習慣の影響もある事が考えられますので、口内炎の原因となる生活習慣の改善にも目を向けてみましょう。
しかしそれでもやはり口内炎の症状が続く場合にはベーチェット病などの免疫疾患やウイルス性の口内炎の可能性もありますので、その際は一度病院を受診するようにしてみてください。
また口内炎は色んな種類がありますが、適切な薬を使用しないと改善する所か悪化する可能性もありますので、自分の口内炎の種類をしっかり把握する必要があります。
口内炎は基本的に治りが悪くても2~3週間で治る事がほとんどになりますので、2~3週間の期間を目安に診察を受けることをおすすめします。
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もちろんいきなり購入する事に抵抗がある方もいると思いますので、もし気になる方は目次だけでも見ていってください。