皮膚の薬

顔用として売り出されている市販の塗り薬の選び方

 

今回は「顔用」として販売されているスキンケア医薬品をざっくり紹介していきたいと思います。

顔用として販売されているスキンケア医薬品は大きく2つに分類されます。

それはヘパリン類似物質を含むか否かです。

 

もちろん他にも分類する指標はありますが、ヘパリン類似物質の配合の有無で他の成分構成にも影響を与えている様子なので今回の顔用医薬品の紹介は「ヘパリン類似物質を含むか否か」で見ていきたいと思います。ぜひ参考にしてみてください。

 

ヘパリン類似物質配合の保湿重視のスキンケア医薬品

「ヘパリン類似物質」とは医療用ではヒルドイドでもおなじみの保湿効果が高く血流改善作用もあり、また伸びや使用感からも絶大な人気を誇る成分になります。

そんなヘパリン類似物質を含む顔用医療用の4種類を紹介します。

 

saiki(さいき)

ヘパリン類似物質:0.3g
グリチルリチン酸二カリウム:0.5g
アラントイン:0.2g

●抗炎症成分と皮膚修復成分がプラスされたスキンケア医薬品
●乾燥はもちろんかぶれに対しても効果的
●ローションタイプと乳液タイプがあり。以前はクリームタイプも発売されていたが現在は販売中止となっている
●実はアットノンEXとほぼ同じ成分

 

ヘパソフト薬用顔用ローション

ヘパリン類似物質
グリチルリチン酸ジカリウム、
アラントイン

●成分の構成はさいきと全く同じだがヘパソフトは医薬部外品
(よって成分量自体はさいきに劣る)
●欠点としては医薬部外品だからといって値段が極端に安いわけでもないため乾燥+炎症の症状が気になる場合にはさいきの方がいいかもしれない

 

イハダドライキュア乳液

ヘパリン類似物質:3mg
ジフェンヒドラミン:10mg
アラントイン:2mg
トコフェロール酢酸エステル:5mg

●かゆみどめ成分と皮膚修復成分を2種類配合している
●乾燥肌でかゆみの症状が顕著な場合に推奨できる
●イハダシリーズにはワセリンをベースにした医薬部外品も発売されている

 

アットノンコンシーラー

ヘパリン類似物質:0.3g

●シンプルにヘパリン類似物質のみの薬
●当然効き目としてはヘパリン類似物質の効き目だけになるがその名の通りコンシーラータイプなので目立ちにくいのが利点

 

顔用スキンケア医薬品の選び方(ヘパリン類似物質配合)

個人的な選び方を考えるならば例えばマスクなど乾燥して勝手が悪い場合には軽く炎症を起こしている可能性も高いためさいきなどの抗炎症成分が配合されている薬を推奨します。

もしかゆみも顕著にあるならばイハダドライキュア乳液も選択肢になりますが、かゆみの原因自体がかぶれから来ている可能性もあるためさいきでカバーできる可能性も高いです。もし虫刺されが原因でかゆみがひどい時などにイハダドライキュア乳液をおすすめします。

乾燥だけならばアットノンコンシーラーでもいいですし純粋にヘパリン類似物質しか配合していないクリーム(HPクリームなど)でもいいでしょう。こちらは顔用でなくてももともと安全性の高い薬になっていますので安心して使用できると思います。

 

ヘパリン類似物質非配合の顔用スキンケア医薬品

ではここからはヘパリン類似物質を配合していないタイプを紹介していきます。

紹介する5種類のうち4種類は「ウフェナマート」を配合している薬になります。

ウフェナマートは抗炎症作用を持った成分でいわゆるNSAIDSと呼ばれる成分です。有名どころで言えばケアノキュア(ムダ毛処理の毛穴ポツポツ跡)に配合されています。

 

メンソレータムカユピット

ジフェンヒドラミン塩酸塩:20mg
リドカイン:5mg
アラントイン:2mg
グリチルリチン酸二カリウム:5mg

●かゆみに効く成分を2種類配合し炎症に効く成分と皮膚修復成分も配合
●ワセリンベースのクリームタイプ
●はっきり言って普通のかゆみ止めといった印象だが着色料や香辛料等が不使用であるため顔用+かゆみに特化した薬のイメージを持たせている

 

メソッドWOクリーム

ジフェンヒドラミン:10mg
クロタミトン:20mg
ウフェナマート:50mg
アラントイン:2mg

●顔まわりとデコルテの症状に特化していると紹介されているが他の顔用スキンケア医薬品と特に変わりなし
●クロタミトンは皮膚刺激を感じてしまう人もいるため顔用としてはあまり推奨できない。

 

キュアレアa

ウフェナマート:5g
ジフェンヒドラミン:1g
グリチルレチン酸:0.3g

●クリームタイプの塗り薬
●ウフェナマートに加えてかゆみ・炎症に効く成分を1つずつ配合したシンプルな作り

 

マスキュア

ウフェナマート 5.0g
ジフェンヒドラミン 1.0g
グリチルレチン酸 0.3g
トコフェロール酢酸エステル 0.5g
イソプロピルメチルフェノール 0.1g

●キュアレアにトコフェロールとイソプロピルメチルフェノールがプラス

 

イハダプリスクリードD

ウフェナマート:50mg
トコフェロール酢酸エステル:5mg

●成分が2種類でシンプルな作り

 

エピナマートSプラス

ウフェナマート:5g
ジフェンヒドラミン:1g
グリチルリチン酸:0.3g
トコフェロール酢酸エステル:0.5g
ベンゼトニウム塩化物:0.1g

●ウフェナマート配合系でマスキュアと同じ5種類の成分を配合
●特にベンゼトニウムを配合し殺菌効果を期待している薬は珍しい

 

顔用スキンケア医薬品の選び方

これらの中から選ぶ選択基準としてはせっかく顔用としてデリケートさを重視するのであればエピナマートやマスキュアは少し成分を盛りすぎな印象です。やはり成分が多いとそれだけ皮膚に与える影響が多いため種類の多さが逆に懸念されてしまいます。

また皮膚への影響の観点から言えばメソッドはクロタミトンが皮膚刺激を生じる可能性がワンランク上がってしまうためあまり推奨はできません。

 

と言う事でバランスを考えればイハダプリスクリードDが推奨できます。

理由としてもちろんキュアレアでも十分オススメできますが、イハダプリスクリードDは資生堂が作った顔に使用できる医薬品と言う事で「弱酸性」「無香料」「無着色」の3つを兼ね備えたタイプになりますので肌への影響を考える人にもオススメできるからです。

また上記の中で言えばメンソレータムカユピットもイハダプリスクリードD同様に皮膚に優しい作りになっておりこちらは抗炎症成分が「グリチルレチン酸」となっています。

実際にイハダプリスクリードD等の「ウフェナマート」と「グリチルリチン酸」の抗炎症作用を比較した試験は行われいないためどちらの方がかぶれに有効かとは言えません。ただ根本的な作用の仕方を考えるとウフェナマートの方を選んだ方が個人的にはより抗炎症作用があるのではないかと考えます。

 

もしかぶれの原因が乾燥にあるのであれば上で紹介したヘパリン類似物質を配合した薬を優先的に使用しましょう。もしくはヘパリン類似物質が単独で発売されているものと併用して使用してみてください。

 

そして基本的に「顔用」と謳って販売されている医薬品は

・アルコールフリー
・弱酸性
・無香料
・無着色

主にこの4つを満たしているものが「顔用」として販売しています。さらに防腐剤フリーとしている薬も多いです。

ただしウフェナマート配合の薬はイハダプリスクリードDくらいしかこれを満たしている薬はありません。

 

これらの薬はもちろん顔だけではなく普通の塗り薬として全身に使用可能になりますから、もし顔用として使用しなくなった場合には普通の塗り薬として全身用に活用してみてはいかがでしょうか。

またもともと皮膚が弱い人で少しでも皮膚に優しい薬を探している人にとってもより低刺激な薬としておすすめです。

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