風邪薬を飲もうとする時に心配なのが「眠気の副作用」になります。
風邪で体調が悪いまま会社や学校に行くわけにもいかず、かと言って風邪薬を飲んで眠気が出てしまい、十分に頭が回らないとなると本末転倒です。
そして風邪薬は眠気が出るものがほとんどになってしまいます(おそらく9割以上)。
しかし中には眠気がないものも多数存在しているんです。
そこで今回は眠気を心配する事なく服用できる風邪薬を紹介したいと思います。
本当は風邪をひいた時は1日ゆっくり身体を休めるのがベストなんですが、なかなかそうも言ってられない人も多いですよね。
そんな時に眠気の出ない市販の風邪薬を探している方はぜひ参考にしてみてください。
目次
眠気を起こす成分は大きく2種類
眠気の原因となる成分は大きく分けると2種類に分類されます。
1つは鼻水やくしゃみなどを抑える「抗ヒスタミン薬」になります。
代表的な成分を挙げると
・クレマスチンフマル酸塩
・クロルフェニラミンマレイン酸塩
・ジフェニルピラリン塩酸塩
などが入っているとまず眠気がでます。
これらの成分が記載されている場合は眠くなる成分が配合されています。
もう1つはせき止めに使われる成分で「ジヒドロコデインリン酸塩」「デキストロメトルファン」という成分です。これも眠気を引き起こす副作用があります。
では基本的な考え方だと、この2つが入っていない風邪薬を選べば問題ない事になります。
眠気がでない市販の風邪薬
では実際に眠気が出ない市販の風邪薬を紹介していきます。
改源
改源は咳や熱・関節やのどの痛み・咳症状に効果のある薬となっています。
しかし鼻に効く成分は入っておりませんので、もし鼻風邪が中心の場合には避けた方が良いでしょう。
カプセルや錠剤などが発売されており、パッケージも異なりますが、中身は大きく変わりませんので飲みやすいタイプを選んでください。
<改源の成分>
アセトアミノフェン…解熱鎮痛剤
dL-塩酸メチルエフェドリン…咳
無水カフェイン…頭痛
カンゾウ末…咳
ケイヒ末…解熱鎮痛
ショウキョウ末…咳
似た薬に「カイゲン」という同じ読み方の薬がありますが、こちらは改源とは全く別物になりますので注意してください。
パブロン50
西洋薬と生薬のハイブリットになっています。
熱や関節の痛み、たんの症状については西洋薬が、生薬は漢方の「麦門冬湯」を意識して作られていますので、乾いた咳やたんの絡む咳、のどがイガイガする場合に効果を発揮します。
パブロン50も鼻症状に関しては効果は弱いので、鼻風邪メインの方は使用しない様にしましょう。
<パブロン50の成分>
アセトアミノフェン・・解熱鎮痛剤
グアヤコールスルホン酸カリウム・・去痰
麦門冬湯乾燥エキス・・咳
小青竜湯
鼻風邪や咳がある時におすすめの漢方です。
上の2つは鼻に効く効果がない市販の風邪薬ですが、小青竜湯は逆に鼻に効く風邪薬となっています。
もともと病院でも良く使用されている漢方で、鼻風邪のほか、アレルギー性鼻炎や気管支喘息、花粉症などに広く用いられています。
ただし、もともと身体が弱い方などは十分な効果を得られませんので避けた方が無難です。
小青竜湯は色んなメーカーから発売されています。成分の含有量などは大きく異なりませんので、値段で選ぶことをおすすめします。
葛根湯
風邪の初期症状に使用される言わずと知れた有名漢方です。
風邪の初期症状、例えば「何だか熱っぽい、寒気がする」「のどの調子がおかしい」などと言った場合に服用すればより効果を発揮します。また関節痛などにも効きます。
ただし瘦せ型で体力がない方には向いていませんので、体質を見て選ぶようにしましょう。
もちろん眠気はありません。
もし鼻がメインでひどい場合には「葛根湯加川きゅう辛夷」もおすすめです。
こちらも色んなメーカーから発売されていますので値段を見て選びましょう。
ストナデイタイム
こちらも西洋薬と漢方のハイブリットで風邪全般に効果がある薬です。
咳・鼻・熱・たん・のどの痛みなど風邪症状全般に効果が期待できます。
同じ西洋と漢方のハイブリットであるパブロン50と異なる点は、上でも紹介した小青竜湯エキスを配合しているためしっかり鼻症状にも効果があるんです。
しかし1つだけ問題なのがストナデイタイムには「ジヒドロコデイン」が配合されているため、眠気に関しては完全にゼロとは言えないんです。
ですから「比較的」眠気が出にくい風邪薬という位置づけにしていた方が無難です。
<ストナデイタイムの成分>
アセトアミノフェン・・・解熱鎮痛剤
エテンザミド・・・解熱鎮痛剤
ジヒドロコデインリン酸塩・・・咳
グアヤコールスルホン酸カリウム・・・痰
小青竜湯乾燥エキス・・・鼻
無水カフェイン・・・頭痛
のどぬーる鎮痛カプセルa
こちらは熱や関節・のどの痛みをメインとする薬です。
特にのどの痛みに関してはそこらへんの風邪薬よりもかなり効果が期待できますが、実は咳や鼻には効果がありません。
ですからあくまでも熱や関節やのどの痛みがメインである場合に使用する時におすすめです。
<のどぬーる鎮痛カプセルaの成分>
イブプロフェン・・解熱鎮痛
トラネキサム酸・・喉の痛み
乾燥水酸化アルミニウムゲル・・胃
熱や喉の痛みだけならイブでもOK
頭痛や生理痛に使用される「イブ錠」や「ロキソニン錠」だけでも十分な解熱鎮痛効果を発揮します。ポイントは催眠鎮静剤配合の痛み止めを配合していない単剤の薬を選ぶことです。「催眠鎮静剤配合の痛み止め」とは簡単に言えば眠くなる成分です。
この催眠鎮静剤を避ければもちろん眠気は出ませんので、コスパを考えるとこれらの痛み止めを使用するのも大変おすすめです。
もしインフルエンザが流行している時期であればイブやロキソニンは脳症を引き起こしてしまう可能性があるため、その時はタイレノールやラックル速溶錠などの「アセトアミノフェン」が配合されている解熱鎮痛剤を使用してください。
鼻水やくしゃみの鼻風邪に対する裏技
風邪薬の眠気の最大のネックである「鼻症状」を攻略するには、風邪薬に頼るのではなく点鼻薬を使う選択肢もあります。例えば
・新ルル点鼻薬
・カイゲン点鼻薬
・パブロン点鼻
など代表的な点鼻薬ですが、その他にもたくさん点鼻薬は発売されています。
しかも効果は抜群で眠気はほとんどありません。
ですから例えば頭痛や熱やのどの痛みに加えて鼻風邪がある場合などには
イブ錠+点鼻薬
といった形で使えばかなり効果も高く眠気も抑える事ができます。
ただ点鼻薬は長期間で複数回使用していると、風邪が治ったのに鼻症状が続いていまうデメリットも生じてしまいますので、鼻症状がひどい時だけ使用するようにしてください。
では「咳がひどい場合はどうすればいいの?」と言う人もいると思いますが、もし咳が酷い時は、漢方の麦門冬湯などを一緒に服用するのがおすすめです。
イブ+麦門冬湯
ちなみに風邪の咳に関しては市販の咳止めへの効果は実は認められていないため無理にせき止め成分配合の薬を選ぶ必要性は正直ありません。
また身も蓋もない事を言えば鼻症状も長期間続くものではありませんので眠気を考えたら鼻に効く成分を諦めるというのも1つの手段です。
風邪薬の眠気に対する疑問
風邪薬とコーヒーを飲んでも風邪薬の眠気はなくならない
風邪薬の眠気をコーヒーのカフェインで補えば大丈夫という方がいます。
しかし風邪薬の眠気はカフェインで防ぐことはできません。
確かにカフェインは眠気を防止する効果はありますが、眠気をなくすものではありません。
それに過度に風邪の時にカフェインを摂取してしまうと、カフェインは胃酸の分泌を促しますので、ただでさえ食欲がなく胃腸の働きが鈍い時に胃酸が多量に出てしまえば吐き気や胃痛などの副作用を起こしかねません。
それにもともと風邪薬にはカフェインが配合されているものもありますので、コーヒーなどで別にカフェインを摂取すると過剰摂取になる可能性もあるので注意してください。
眠くならない風邪薬ランキングなどない
ネットで検索すると「眠くならない風邪薬ランキング」などがヒットする事があります。
しかし眠くなる風邪薬にランキングなどつけることは100%不可能です。
風邪薬の眠気の程度は「眠くなる成分を配合しているか否か」だけの問題になりますので、決してネット上の眠くらない風邪薬のランキングに載っているからセーフなどと思わないようにしましょう。
ルルアタックやベンザブロックでも眠くなる
市販の風邪薬の代表としてルルアタックやベンザブロックは人気が高い風邪薬となります。
しかしこれらの風邪薬はもれなく眠くなりますので、もし眠気が出ては困る人は使用を避けてください。
また子供でも使用できる風邪薬だからと言って大人が飲んだら眠気がでないという事はありませんので、使用可能な薬の年齢に関わらず眠気が出る成分が配合されている時は服用を避けましょう。
眠くなる風邪薬はいつまで眠気が続くのか
もし「間違えて眠気がでる風邪薬を飲んでしまった」あるいは「多少は眠気がでても構わない」と考えて、眠気がでる風邪薬を飲む人もいる事でしょう。
そんな時に眠気はどの位の時間でおさまるのか気になりますよね。
ただ厳密に「何時間後に眠気が無くなる」というデータはありません。しかし眠気のピークになるデータはありますのでそれを元に紹介していきます。
薬が最も効いて同時に眠気も出やすくなるのは服用後約3~4時間後になります。
そしてそれ以降は徐々に眠気も少なくなっていきます。
ただ「3~4時間を過ぎれば眠気がなくなる」という訳ではありませんので注意してください。あくまで眠気のピークがこの時間になる可能性があるだけで、これらの薬の半減期は長めなので「朝飲んだから昼は問題ない」と考えないようしましょう。
風邪だけど抗生剤は飲まなくていい?
市販の抗生剤は販売されていませんし、風邪の時に抗生剤を飲む必要はありません。
そもそも風邪の原因はほとんどが「ウイルス」です。抗生剤は「ウイルス」をやっつける事はできません。やっつける事ができるのは「細菌」だけなんですね。
ですから風邪の場合は抗生剤は不要で、むしろ休息をとった方が良いでしょう。
ではなぜ病院で抗生剤をもらうのかと言えば、日本の医師の中には抗生剤を出しておけば患者さんにも安心してもらえるという先生や、風邪から来る二次感染予防のために抗生剤を処方する先生がいらっしゃいます。
しかし実際は抗生剤自体は風邪そのものを治すものではないので基本的には不要。もし手元に抗生剤がなくても安心してください。
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