風邪薬

【ライン登録者限定】葛根湯と総合風邪薬はどちらの方が効くのか?

 

今回は風邪の引き初めにおいて、葛根湯と総合風邪薬はどちらを使うべきかについて紹介します。

 

よく葛根湯は風邪の引き初めに使うことが有効と言われます。ただ実際のところ総合風邪薬と比べて、どのくらい効き目が違うのか気になる人も多いのではないでしょうか。

そこでここではこの2つの薬の効き目を比較し、風邪を引いた時にはどちらを選べばいいのかについて紹介します。

また動画の後半には某感染症において葛根湯がどのくらいの効果があるのかについても紹介しますのでぜひ最後までご覧ください。

 

葛根湯と総合風邪薬について

ではまずは今回比較する葛根湯と総合風邪薬について簡単に紹介します。

では最初は葛根湯です。

こちらは超メジャーな漢方と言っても過言ではないくらい人気の漢方で、風邪の時の漢方と言うと葛根湯と考える人も多い薬です。そんな葛根湯は身体を温めて発汗を促すことで熱を下げる作用があり、風邪以外にも肩こりにも使われる事が多い漢方になります。

また葛根湯の一番の特徴としては眠気がゼロな事が挙げられます。市販の風邪薬の大半は眠気の副作用がありますので、眠気が出ない風邪薬は貴重な存在です。

 

では次は総合風邪薬です。

こちらは多くの種類がありますが、今回はパブロンゴールドAを採用します。この風邪薬は言ってみれば超オーソドックスな風邪薬になります。

この成分を見ると取り立てて高い効果の成分ではありませんが、風邪全般に効く成分をカバーしています。

では今回、そんな2つの薬をどう比較するのか?と言う話ですがそれはシンプルにこの2つを用いた研究が行われましたので、その臨床試験結果を紹介します。

 

葛根湯VS総合風邪薬

この2つを使って一体どんな試験が行われたのかと言いますと、これは風邪の発症48時間以内の人を対象に葛根湯とパブロンゴールドAをそれぞれ約170人に投与し、どちらが風邪の悪化を防げるのかについて調べたものになります。

PMID: 24785885

風邪の引き初めに効く葛根湯と、「早めのパブロン」でも有名なパブロンなので、どちらの方が効き目が高いのかかなりいい勝負になりそうですよね。

 

では結果はどうなったのかと言いますと、これは(5日以内の)症状の悪化を比べてみた結果、実はほぼ同じくらいの効き目が得られたんです。

さらに補足しますと葛根湯でもパブロンでも、風邪の引き初めに服用しても最終的にそれぞれ約25%が症状が悪化すると言う結果になりました。

つまり、風邪の引き初めに葛根湯を飲んでも総合風邪薬を飲んでも、風邪への効果は同じになると言う意外な結果になったんです。

 

と言う事で研究結果は以上なんですが、重要なことはこの情報をどう活用していくのか?になりますので、ここからはこの研究結果を活かす市販薬の選び方を紹介したいと思います。

 

葛根湯VS総合風邪薬から考える事

まず今回の研究では葛根湯もパブロンも同じ効き目だったわけですが、注目すべきはどちらも風邪の引き初めに使用していると言う事です。

そしてここをご覧になっている登録販売者や薬剤師の方はご存じだと思いますが、早めのパブロンと謳っているパブロンは決して早めの風邪に特化した薬ではありません。と言うのもこれはパブロンにだけ風邪の引き初めに有効な成分を配合している訳ではありませんし、そもそもそんな成分はありません。

むしろはっきり言ってパブロンゴールドAは風邪薬の中でも効き目が高いわけではなく、大きな声では言えませんが正直微妙な効果の風邪薬と言えます。

一方で葛根湯は風邪の初期症状に使用することが公にも推奨されているもので、当然ながら早めに飲んだ方が効くイメージがある人も多いと思います。

 

たた今回の結果を見て思ったことが

「早めに飲むべき葛根湯」と「パブロンゴールドA」が同じと言うのは、葛根湯って正直どうなの?

と思ってしまいました。

例えるならサッカーで日本代表がFIFAランキング7位といい勝負をするならまだしもランキング100位といい勝負する様なものです。

つまり微妙な効果のパブロンゴールドAと同程度の効果しかないのであれば、無理に葛根湯を風邪の引き初めに急いで服用する必要性があるのか疑問に思いました

 

もちろん総合風邪薬の方は眠気や口渇をはじめ、他にも副作用が多々ありますので、リスクの面も考えると葛根湯を選ぶ選択肢もあるかと思います。

また薬を使う事の安心感やこれまでの経験的に葛根湯が自分に合っているという人はそのままでもいいかと思います。

 

ただ葛根湯は使う人の体格や体質を選ぶ薬になり、体力が衰えている人ややせ型の人等には安易に勧められない薬でもあり「漢方だから副作用がない」と思う人もいるかもしれませんが、葛根湯はマオウという生薬が血圧を上げたり、血糖値を上げる等の作用がありますので持病がある人には使いにくい薬でもあります。

 

個人的に選ぶ風邪薬

では結局どうすべきなのかと思う人も多いと思いますので、ここからは個人的な考えを話したいと思います。

これはずばり症状がひどくなる一歩前くらいに、症状に応じた総合風邪薬を選ぶべきだと考えます。

 

と言うのも現在、総合風邪薬の中には咳や喉の痛みに関しては効き目が高い薬が多くありますので、よりピンポイントでひどい症状に適した風邪薬があるためです。

具体的には喉の痛みがひどい時はベンザブロックLプレミアムであったり、咳がひどい場合には新ルルAゴールドDXα等が推奨できます。

そして風邪の引き初めにすぐ薬を服用する必要性もないかと考えます。もちろん風邪がひどくなってから薬を飲む事と、ひどくなる前に飲むとでは、体感的な辛さは違うと思いますので、ある程度早めに飲む意義はあるかとは思います。

ただやはり総合風邪薬は眠気であったり口渇であったり便秘などの副作用があるため、使う期間が長い分それだけリスクもあります

それに結果論ですが、風邪薬を早めに服用しても結局4分の1は悪化するわけなので、それならば使う期間をいたずらに長くすべきではないと考えます。

またこのご時世、風邪の症状でもただの風邪と済ますことはできない状況になりますので、それならば某感染症にも使われるものと同じ成分を配合している普通の風邪薬の方が葛根湯よりも適切かと思います。

ただもしひょっとすると葛根湯を使う事で某感染症にも効果を発揮するのでは?と考える人もいるかもしれません。

ですから最後に葛根湯を使用する事によって某感染症にどれ程影響があるのかについて紹介したいと思います。

 

某感染症に葛根湯は効くのか?

これは2022年の11月に出た論文なんですが、某感染症に感染した際に2つの薬を投与して経過を見る研究を行いました。

PMID: 36438822

その2つとは「通常の解熱剤や咳止め等を使用したグループ」と「それにさらに葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏を加えたマシマシのグループ」に分けました。そして熱や咳などの風邪の様な症状が少なくとも1つ改善するまで、どちらの方が有効かを試験したものになります。

するとどのような結果になったかと言いますと

葛根湯等をプラスしてもしなくても効き目は変わらないと言う結果になったんです。

 

研究結果の中には漢方を使用した方が発熱期間が少し短かくなった等の報告もあるんですが、2つのグループで明確な効き目の違いが示されたわけでもなく、この結果の精度も決して高いものではありません。

またそもそもの話をしますと、この研究は対象数が少ない事や高齢者の割合が少ないこと、
何より今はウイルスの変異も起きていますので、少なくとも某感染症に葛根湯が効くというのは正しいとは言えないかと思います。

 

ですから実社会において某感染症に葛根湯で立ち向かうのはあまりに無謀だと言ってもいいと思います。

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