2021年2月にリンデロンVs軟膏・リンデロンVsクリームが発売になりました。
いずれも病院で使用されている薬と同じものとして医療用からスイッチした医薬品になります。
そこで今回はリンデロンVsについて紹介していきたいと思います。
ざっくりした特徴としては以下の3つが挙げられます。
・医療用のリンデロンVと全く同じ
・市販薬トップの強さのステロイド
・ストロングクラスで唯一の抗菌薬非配合の軟膏製剤
では紹介していきたいと思います。
目次
リンデロンVsの特徴
医療用のリンデロンVと全く同じ
今回発売されたリンデロンVsは「ベクロメタゾン吉草酸エステル」と言うステロイドを配合しています。
そしてリンデロンVsは医療用として病院で使用されているリンデロンV軟膏・リンデロンVクリームと全く同じ成分で添加物も同じになりますので完全に同じ薬です。見た目もほとんど同じです。※ローションタイプは市販薬としてはまだ発売されていません。
市販薬トップの強さのステロイド
ステロイドの塗り薬は5段階の強さに分類されていますが、市販薬は下から3つめまでの強さまでしか発売されていません。
ストロンゲスト
ベリーストロング
ストロング
メディアム
ウィーク
そしてリンデロンVsは市販薬の中では最も強い「ストロング」に分類される塗り薬となっています。つまり炎症がひどかったりかゆみが特にひどい場合にオススメできる塗り薬と言えます。
効能効果は以下の通りです。
しっしん、皮ふ炎、あせも、かぶれ、かゆみ、しもやけ、虫さされ、じんましん
市販のストロングクラスのステロイドは5種類
現在ストロングクラス(市販薬最強)のステロイドは以下が発売されています。
<ベタメタゾン吉草酸エステルを配合>
・ベトネベートN軟膏AS
・ベトネベートクリームs
<ベタメタゾン吉草酸エステルを配合>
・リンデロンVsクリーム
・リンデロンVs軟膏
<フルオシノロンアセトニドを配合>
・フルコートf軟膏
これらの軟膏・クリームを併せて5種類が発売されることになります。
そして御覧の通り実はリンデロンVsはすでに発売されているベトネベートと同じ成分になります。
ただしベトネベートは軟膏とクリームで抗菌薬の有無が異なるため要注意です。
ベトネベート軟膏⇒抗菌薬あり
ベトネベートクリーム⇒抗菌薬なし
ベトネベートかリンデロンが迷う人もいると思いますが、共に5g入りが発売されているため値段が安い方でいいと思います。病院で使用経験があってリンデロンの方が安心と言う人はもちろんリンデロンでも構いません。
ストロングで唯一の抗菌薬非配合の軟膏製剤
市販薬で最も強いステロイドは抗菌薬が配合されているタイプもあり
ベトネベートN軟膏AS
フルコートf軟膏
この2つは抗菌薬「フラジオマイシン」を配合しています。
そして現状最も強いステロイドの「軟膏タイプ」は全て抗菌薬が配合されていましたので、使い勝手が悪い場面もありました。しかしリンデロンVs軟膏は抗菌薬を配合していない唯一の軟膏タイプのストロングタイプのステロイドなんです。
ですから「抗菌薬が非配合の軟膏の塗り薬」を選択する場合にはリンデロンVs軟膏一択となるでしょう。
軟膏とクリームの特徴としてはざっくり以下のようになります
軟膏・・落ちにくいがべたつきがある。刺激性は低い
クリーム・・べたつきは少ないが軟膏より落ちやすい。軟膏より刺激性があるc
選び方をまとめると以下となります。
かゆみや炎症が強い(化膿あり)
⇒ベトネベートN軟膏AS
⇒フルコートf軟膏
かゆみや炎症が強い(化膿なし)
⇒ベトネベートクリームS
⇒リンデロンVsクリーム
⇒リンデロンVs軟膏
抗菌薬は何のために必要なのか
「どうして抗菌薬が入っているのか?」と言う疑問ですが例えば皮膚がかゆみだけでなくジュクジュクしていたり膿がでたりして化膿している場合などは、細菌感染によるものが多く、それらの菌を叩くために抗菌薬が配合されています。
また化膿部位に抗菌薬が入っていないステロイドだけの塗り薬を使用してしまうと、ステロイドによる「免疫抑制作用」によって逆に症状の悪化を招く可能性もあります。
ただ抗菌薬は必要ない場合(化膿してないただの炎症等)には不要な成分であるため、化膿等がない場合には抗菌薬を配合していないタイプを選びましょう。
そしてまさに今回発売されたリンデロンVsは軟膏・クリーム共に抗菌薬は配合されていませんので、化膿のない皮膚症状に適した薬と言えます。
リンデロンVsがオススメな人
リンデロンVsは市販薬で最も強いステロイドになりますから、虫刺され等で強いかゆみや炎症がある場合に推奨できます。またストロングタイプで唯一の軟膏で非抗菌薬の薬になりますので、もし化膿していない・刺激を最低限に抑えたい場合にはリンデロンVs軟膏がオススメです。そして病院でリンデロンVを使用して効果を実感できた人も推奨できます。
ただし医療用のリンデロンにはVであったりVGであったり複数種類があるため、今回発売されたリンデロンVsと同じでない可能性もあるため注意してください。
リンデロンVsの使用上の注意点と特徴
使えない症状
水痘(水疱瘡)、水虫、たむし、目の周り
これらの場合にはいずれも使用できないため注意してください。
水虫などの皮膚症状に使用してしまうと先ほども言ったステロイドによる「免疫抑制作用」によって症状を悪化させてしまう可能性があります。
適切に使用している以上副作用も大きく問題になる可能性は低いです。
顔には使用しない
リンデロンVsは「顔の広範囲に使用しない」とされていますが初めから顔にだけ使用する目的ならばストロングクラスのステロイドを使用するよりも、ランクの弱いステロイドの方が安全であるため、基本的に顔目的での購入は避けた方がいいでしょう。
どうしても炎症がひどくピンポイントで症状がある時のみ、使用を勧めます。
ちなみに顔における広範囲とはあごからおでこまでの間でおおよそ500円玉を超える範囲をさします。シオノギヘルスケアHP
妊娠、授乳中でもOK
特に妊娠していても授乳中であってもリンデロンVsの制限はありません。ただ授乳中の子供がいる家庭の場合は誤って子供に触れないように注意してください。
そして大量に長期間使用する事は妊婦・授乳中共に好ましくありませんので、もし長期大量使用が必要な人は受診を優先してください。
使える年齢
特に年齢制限はありませんが乳幼児は皮膚からの吸収がよく、ストロングクラスの薬を塗らないといけないケースならば受診を優先的に考える事を推奨します。基本的にワンランク下のステロイドでも問題ないケースも多いと思います。
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