市販の風邪薬には「のどの痛みに効く」と謳っている薬は多く発売されています。そしてCMや薬のパッケージにデカデカと「のどに効く」と宣伝されている薬はそうでない薬と比べて効果が高い様な気もしてきますよね。一方でどの風邪薬の説明書を見てもほとんどすべてに「のどの痛みに効く」と記載されています。
しかし実際にのどの痛みに特化した風邪薬は大きく3つに分類でき、それ以外は特にのどに効果が高いわけではありません。
そこで今回は本当にのどの痛みに本当に特化している風邪薬を紹介したいと思います。風邪の症状でのどの痛みがつらい人も多いと思いますのでぜひ参考にしてみてください。
目次
のどの痛みに効く市販の風邪薬
のどの痛みに効く市販の風邪薬は大きく以下の3つに分類できます。
・イブプロフェン200㎎+トラネキサム酸
・イブプロフェン200㎎
・イブプロフェン150㎎+トラネキサム酸
つまり「イブプロフェン配合(量も)」と「トラネキサム酸配合」がポイントになります。
実際にイブプロフェンは急性咽頭痛などに対しての効果が期待されている成分です。のどの痛み自体が「のどの炎症」であることを考えると、炎症を抑えるイブプロフェンがのどの痛みに効くのも納得がいくと思います。
実際に解熱鎮痛薬である「アセトアミノフェン」と比較してもイブプロフェンの方が咽頭痛に優った効果を発揮するという報告もされています。これはアセトアミノフェンには抗炎症作用がない事でも何となくイメージが付くのではないでしょうか。ちなみにイブプロフェンは熱や頭痛や関節痛にも効果があります。
そして同様にトラネキサム酸も抗炎症効果があるとされ、特に病院などでのどの痛みがあるとほぼ定番と言っていいくらいにトラネキサム酸が処方されます。
では実際にのどの痛みに効果的な風邪薬商品を紹介していきます。
イブプロフェン200㎎+トラネキサム酸
ストナアイビージェルEX
ベンザブロックLプレミアム
ルルアタックEXプレミアム
コルゲンコーワIB錠TXα
この4つは特に大きな特徴の差はありませんので値段の安さで選ぶのもいいと思います。鼻づまりがある人は「プソイドエフェドリン」を配合しているベンザブロックLプレミアムがいいかもしれません。
ちなみにストナアイビージェルEXはカプセルで1回に2カプセル、他の2つは錠剤で1回に3錠となっています。
イブプロフェン200㎎
パブロンエースPro
新コンタックかぜEX持続性
ルルアタックTR
コルゲンコーワIB2
パブロンエースProのみ1日3回服用するタイプです。他の風邪薬は1日2回タイプとなります。つまり1日の総量で見ればパブロンエースProが最も多くイブプロフェンを摂取することになります(パブロンエースは1日600㎎、他は400㎎)。
ですから痛みが気になる人や頭痛や生理痛もあって日頃薬を1日3回で使用している人はパブロンエースProがいいかもしれません。
一方で飲む回数を極力減らしたい人などは1日2回のタイプが適しています。中でも新コンタックかぜEX持続性とルルアタックTRが推奨できますのでこちらも参考にしてみてください。
イブプロフェン150㎎+トラネキサム酸
ルルアタックEX
ストナアイビージェルS
この2種類は大きな違いはありません。知名度で言えばルルアタックEXの方が高いと思いますがこちらも値段が安い方を選んでも問題ないでしょう。ちなみにルルアタックEXは錠剤でストナアイビージェルSはカプセルです。
のどの痛みに効く風邪薬はどう選ぶべきか
大きく3パターン紹介しましたがイブプロフェン200㎎+トラネキサム酸の薬を選ぶと一番安心できると思います。
イブプロフェンの鎮痛効果は用量にある程度依存しますので150㎎イブプロフェンよりも200㎎イブプロフェンの方が若干ですが効果が高い可能性があります。決められた用量を守っていれば安全性も高い薬です。PMID: 12510944
ただ問題は「トラネキサム酸が配合されている事でどれだけのプラスの影響があるのか」という疑問です。
実際トラネキサム酸がのどの痛みに効く根拠というのは乏しく、実際に効果を示した試験で言えばインタビューフォーム程度のものになります。ただ病院でも当たり前に使用されているトラネキサム酸が配合されていることで安心感が高まる人も多いと思いますし、のどに効く成分が2種類配合されていることでより効果を実感する可能性はあります
ではここで気になるのは
「イブプロフェン150㎎+トラネキサム酸」VS「イブプロフェン200㎎」
の行方です。ただこちらは実際個人の主観によるものの方が大きいため明確な比較は困難です。特に根拠となる報告もありません。
ですからもし安心したい人はイブプロフェン200㎎+トラネキサム酸の薬を選ぶ方が無難だと思います。ただこのタイプはもれなくジヒドロコデインを配合し便秘のリスクも高まりますので、便秘の副作用は避けたい・飲む回数が少ない方がいいという人はルルアタックTRや新コンタックかぜEXが推奨できます。
ちなみに最近では「グリチルリチン酸」を配合してのどへの効果を高めた薬として販売されているものも増えてきましたが、こちらも根拠となるものはほぼ皆無であり、さらに医療用としてもほぼ用いられることはありませんので優先順位としてはトラネキサム酸より下になるでしょう。
ほぼ全ての総合風邪薬に「のどに効く」と書かれている理由
市販薬の9割以上はのどの痛みにも効くと記載されていますが、これはイブプロフェンやトラネキサム酸を配合していなくても「アセトアミノフェン」の解熱鎮痛剤を配合していると「鎮痛効果がある」とされているため効能効果の欄に記載がされています。
しかし実際ののどへの効果はアセトアミノフェン1本では正直期待できないと思います。中には「自分はアセトアミノフェンの風邪薬でものどに効く」という人もいるかもしれませんが、そもそもただの風邪ならば時間の経過でのどの痛みも改善していきます。
ですからより確実に少しでも早くのどの痛みを抑えたい場合には今回紹介した風邪薬を優先的に使用してみてください。
のどの痛みに効く市販薬を使えない人
今回紹介した薬は全てイブプロフェンを配合していますので15歳未満は使用することはできません。妊婦・授乳中の人も使用しない方がいいです。
またインフルエンザの時期にはライ症候群という脳症を起こすリスクがあります。基本的に小児が起こしやすいものになりますが成人での報告もあるため明らかなインフルエンザの時には使用せずにアセトアミノフェンの解熱鎮痛剤を使用する方がいいでしょう。もしくはトラネキサム酸+カンゾウを配合しているぺラックT錠などもいいでしょう。
そして本来ならば風邪ののどの痛みは徐々に改善してくものです。それが薬を使用しても改善してこない、唾を飲むとこれまでに感じた事がない激痛を感じるという場合には市販薬では対応できない可能性が高いため病院受診を推奨します。
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