現在うつに効く薬は市販では発売されていません。
例えば病院で使用されるうつの薬としてパキシル・ジェイゾロフト・サインバルタ・デパスなどの多くのうつに効く薬が使用されていますが、これらの薬は市販では購入する事はできません。
その理由としては、うつの薬は脳(中枢)に影響を与える薬になりますので、薬の選択や用量の調整をあやまると危険な面も多く、医師の関与もない中で使用する事は大変危険の高い薬になってしまうためです。(医師が処方する薬を正しく服用する上ではほぼ問題ありません)
しかしうつは放置していると症状は悪化する可能性も高く、手遅れになる前に病院を受診する必要があります。
すると困るのが「うつかどうか判断が付かない人」「うつではないと思うが落ち込む事が続く人」ではないでしょうか。
そこで今回はそんな人におすすめの市販薬を紹介していきたいと思います。
ぜひ気になる方は参考にしてみてください。
目次
自分がうつかどうか判断する方法
自分を客観的に「うつである」と判断する事ははっきり言って難しいです。
そもそもうつの時は正常な判断が出来ない可能性が高いです。
そんな時に自分がうつか否か判断するには「自己チェック」によって自分を客観的に判断する材料にしてください。
例えば医療用のうつの薬を販売しているファイザーのHPには「こころとからだの質問票」として以下の様な自己チェックが可能です。
物事に対してほとんど興味がない、または楽しめない
気分が落ち込む、憂うつになる、または絶望的な気持ちになる
上記の様な全部で9個のチェック項目があり、これが半分以上該当する・毎日5項目以上該当すると病院を受診する目安となっています。
もちろんこれを絶対的に信用し、これに該当しないからと言ってうつでないとは言えません。あくまで自分を客観的に判断するための材料の1つとして利用してみてください。
自律神経失調症に効く市販薬
うつと自律神経失調症
うつと良く似ているのが自律神経失調症です。
例えばうつの症状として夜眠れない・食欲がない・身体がだるいなどが挙げられますが、これらの症状は自律神経失調症も同様に起きる症状であり、単純にこの2つを区別するのは難しいです。
そもそもうつも自律神経失調症も影響しているのは「脳(中枢)」になりますので、症状の元となる部分が共通している以上、明確に区別するのは困難と言えます。
ですから自分を客観的に判断するために上で紹介したチェックシートを用いたり、自分で強く感じる不安や落ち込みによっては病院を受診する必要があるんです。
そしてうつに効く市販薬は発売されていませんが、自律神経失調症に効く市販薬は発売されていますので、まずは市販の薬を試してみたいという人におすすめな市販薬を紹介していきます。
加味帰脾湯(かみきひとう)
加味帰脾湯は漢方の飲み薬になるんですが、不眠症や精神不安・神経症に効く漢方になっています。またイライラやストレスを抱えている人にもおすすめの漢方です。
加味帰脾湯は市販ではユクリズム(和感箋・わかんせん)などの名前で使用されている漢方になります。他にも漢方で有名な「ツムラ」や「クラシエ」などのメーカーからも発売されています。
メーカーによって若干の成分の配合量は異なりますが大きな違いはありません。
あえて選ぶとするならばユクリズムは3日分(900円)が発売されており、効果を試してみたいという人にはおすすめですが長期で使用を考えるならば割高になってしまいます。
一方のクラシエの加味帰脾湯ならば8日分で1000~1500円程度で購入する事が可能になりますので、もしある程度継続的に服用してみたい人はこちらの方がおすすめです。
アリナミンEXゴールド
うつや自律神経失調症に必要なビタミンはビタミンB群です。また葉酸・ビタミンDも併せて摂る方がいい可能性があります。
ある研究によると、うつに対して直接的な効果はありませんがビタミンBを摂ることで気分にプラスの影響を与え、ストレスを軽減する働きがあるとされています。
ちなみにこの時の研究に使用されたビタミンBは6・12が必ず含まれて次点で葉酸、その次にビタミンB1.2.3.5が配合されていた研究になりますので、なるべくこれらのビタミンが配合されているサプリメントが好ましいかもしれません。
またビタミンD不足もうつ病に影響を及ぼす可能性もありますのでこちらも補った方が良い可能性があります。
ではいったい市販薬の中で選ぶとしたらどの薬がいいのかと言いますとアリナミンEXゴールドをおすすめします。
アリナミンやキューピーコーワなどのビタミン剤には多くの種類のビタミンが配合されていますが、実はビタミンB6と葉酸の両方を配合しているビタミン剤はかなり少ないです。
しかしアリナミンEXゴールドはそんなビタミンB類と葉酸を配合している貴重な薬になるんです。
しかしこれらのビタミン類等は数日から数週間の服用では効果が実感できない可能性が高く、うつの薬と同様にビタミン類も「飲んですぐに治る」というタイプではありません。
また研究に使用されている量よりも市販の薬は少なめになっていますので、あくまでも「補助的な役割」として活用することを推奨します。
抗うつ薬やデパスなどの安定剤は市販薬なし
うつに効く市販薬は発売されていませんが、同時に自律神経失調症に良く使用されるデパスやグランダキシンなども市販化されていません。
特にデパスなどの抗不安薬は多くの医療機関で使用され、まさに安定剤の代表として多く使用されている薬になりますが、こちらは市販では購入する事ができず代わりになる薬も発売されていません。
ですからデパスなどの抗不安薬を使用した事がある人でその効果が実感でき、再度使用したいと言う人は病院を受診するようにしましょう。
うつにおすすめしない市販薬
アロパノールはコスパが悪い
アロパノールは神経症、不眠症、イライラに効く薬として発売されています。
しかしうつ・うつかもしれない時にはおすすめしません。
そもそもアロパノールは病院でも神経の高ぶりなどを抑えるために使用される漢方の「抑肝散」と同じ薬になっています。
つまりうつの様な落ち込みが強い場合の症状に関してと言うよりも、逆にイライラして気分が高ぶっている人におすすめな漢方になっています。
するとうつに効くかと言えばまた違う効果になってくるでしょう。
そしてアロパノールは3日で約2000円になりますからかなり高額な薬になっています。
更年期障害に使われる命の母はうつにはNG
はじめに注意点を言っておきますと、命の母はあくまでも更年期障害による自律神経失調症を正す薬になりますので、更年期による自律神経の乱れ以外の場合にはおすすめしません。
もちろんうつにはおすすめしません。
そもそも更年期障害とはホルモンの分泌が乱れた結果、自律神経に影響を及ぼしてしまい不眠やめまいや動悸などの自律神経失調症の症状を起こしてしまうものになってしまいます。
そして命の母は女性の更年期障害に良く用いられる3種類の漢方である「当帰芍薬散」「加味逍遥散」「桂枝茯苓丸」に含まれる生薬を配合し、更年期障害による自律神経の乱れに効果的な薬となっています。
しかし命の母は複数の生薬から出来ている薬ですが、その分1つ1つの生薬の配合量が少ないため、色んな症状に効く反面効果はマイルドなものになってしまうんです。
つまり更年期障害の症状(自律神経失調症を含めた)に広く浅く効く薬になっているため、人によっては命の母は効果が不十分な可能性も高いです。もし自分の更年期障害や自律神経の乱れによる症状がはっきり分かっている場合には命の母ではなく、自分にあった漢方を個別に選ぶ必要があるんです。
この場合の詳しい選び方はこちらで紹介しています。
結果として命の母が奏功し、うつに効いた様に感じる場合ももちろんゼロではありませんが過度にうつへの効果を期待して服用するのはあまりおすすめしません。
ドリエルなどの市販の睡眠薬に注意
うつの症状の1つに不眠が挙げられます。
寝付きがかなり悪い・夜中に何回も目覚めるなどがある時は不眠と言えるでしょう。
ではそんな不眠に使用される市販薬としてドリエルがかなり有名な薬になります。
しかしこのドリエルはあくまでもたまに眠れない時の不眠に使用する薬になります。
実際のドリエルの説明書にも
一時的な不眠の次の症状の緩和:寝つきが悪い、眠りが浅い
と「一時的な不眠」に使用できる薬となっています。
するとうつの場合の不眠は「一時的なもの」とは言えませんので、ドリエルなどを使用するのはおすすめしません。
値段が高いサプリをおすすめしない理由
うつに効く市販薬を探してもピンとくるものはおそらく見つかりません。
しかし一方で「うつに効くサプリメント」は多く発売されています。値段も非常に高額なものから手頃なものまで様々です。
ではそんなサプリメントはおすすめできるのかと言うと、正直おすすめしません。
少なくとも値段が高いからうつに良く効くといったデータは乏しく、多くが「いい意見ばかりを集めた口コミ」を大々的に宣伝しているものばかりです。
ただし「高いサプリメントはそれだけ効果も強い」と思ってしまうのが人間ですから、うつの症状がひどければ値段の高いものに手を出してしまいがちです。
しかしそれならば一度病院を受診してしっかり治療している事の方が後々のことを考えてもいいでしょう。
うつは珍しい時代ではない。安心して病院受診を
うつも自律神経失調症も共に同じ脳(中枢神経)が影響するものです。
ですからもし自分がうつではなく自律神経失調症と思っていても今回紹介した薬で効果の改善が見られない場合はなるべく早めに病院を受診するようにしてください。
そして現在うつに効く市販薬は発売されていません。
しかしそうは言っても「なるべく病院には行きたくない」という人も多いかと思います。
ただ現在日本でも約500万人もの人数がうつに悩まされ、その数は増え続けています。
もはやうつは「特別な病気」ではなく一人で悩む必要はありません。
ですからぜひ手遅れになる前の受診を。もしくは一度市販薬を試してみたいと言う人は今回紹介した市販薬を利用してみてください。
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もちろんいきなり購入する事に抵抗がある方もいると思いますので、もし気になる方は目次だけでも見ていってください。